名鉄名古屋本線と三河線が乗り入れる知立駅周辺で高架化事業が進められており、現地には二層構造の壁のような高架駅が姿を現しています。
当ブログでは2022年9月に現地の状況をお伝えしましたが、2023年3月には名古屋本線の上り線(豊橋方面)が高架に切り替えられました。
近くに行った際、何回か取材したのですが、記事にしないまま時間が経ってしまいました。今回、あらためて現地を取材しましたので、最新の状況をお伝えします。
前回記事
「知立駅付近連続立体交差事業」の概要
知立市は愛知県の西三河地方にある市で、人口は約7.2万人、面積は16.31平方キロメートルと比較的小規模な市ですが、人口密度は三河地方で最も高くなっています。
江戸時代には東海道五十三次の39番目の宿場である「池鯉鮒宿」があり、現在も国道1号や23号、155号などの幹線道路、名鉄名古屋本線や三河線が走る交通上重要な拠点となっています。
その知立市の中心駅が名鉄知立駅です。快速特急・特急を含む全列車が停車します。
知立駅は名鉄名古屋本線と三河線の接続駅となっていますが、名古屋本線が東西に、三河線が南北に走っており、鉄道による市街地の分断が中心市街地の発展の妨げになっていました。
そこで、こうした状況を改善するために行われているのが「知立駅付近連続立体交差事業」です。
事業の概要は以下のとおりです。
名称 | 知立駅付近連続立体交差事業 |
事業主体 | 愛知県 |
高架延長 | 名古屋本線:約1,560m 三河線(豊田方面):約1,160m 三河線(碧南方面):約1,540m |
踏切除去数 | 10か所 |
総事業費 | 約792億円 |
事業期間 | 2000年(平成12年)度~2028年(令和10年)度 |
関連事業 | 知立駅周辺土地区画整理事業、都市計画道路9路線、知立駅南土地区画整理事業、知立駅北地区市街地再開発事業 |
全体鳥観図です。
平面図です。
知立駅と知立南北線(都市計画道路)の完成予想図です。
知立駅断面図です。3階構造となり1階は改札、駅業務施設及びコンコ-ス等が整備され、2階は名古屋本線、3階は三河線になります。
さらに知立駅周辺では「100年に1度のまちづくり」として高架化事業に併せて、街路事業、土地区画整理事業や市街地再開発事業などを進めており、これらの事業を一体的に実施することにより、知立駅を中心とした「魅力あるまちづくり」の実現を目指しています。
現地の様子(2023年10月)
北口の様子。駅の外装があらわになっています。
区画整理事業も同時並行で行われています。この場所には高架駅を貫くかたちで幅員30メートルの都市計画道路「知立南北線」が整備される予定です。
都市計画道路の予定地沿いでは新たなビルの開発も。
アイシン開発が地上13階建て、高さ50メートルの一部事務所付きの共同住宅を建設するようです。
駅前広場を整備するための用地も確保されています。
上部に三河線、その下を名古屋本線が走ります。三河線、かなり高いところを走るので眺めがよさそうです。
名古屋本線の上り、豊橋方面は高架線を走るようになり、その分踏切で遮断される時間が短くなったともいえます。
現地で見るとけっこうな要塞感がありますよ。
三河線の海線(碧南方面)の様子。高架線の設置はこれからで、あと5年の歳月がかかることを思い知らされます。
三河線の山線(豊田市方面)にある三河知立駅の様子。高架化事業に伴い2024年3月16日から豊田市寄りの竜北中学校南側付近へ移設される予定です。
2023年3月より使用が開始されている名古屋本線登り豊橋方面のホーム。現在は緩急接続できない構造ですが、高架事業完成の暁(あかつき)には2面4線のホームとなりダイヤも大幅に変わるのかもしれません。