のりもの・交通関係

「SRT」導入に向け、一般モニターが乗車する社会実験を9月に実施!

名古屋市は、都心における回遊性の向上や賑わいの拡大を図るため、まちづくりと一体となった「SRT」という新たな路面公共交通システムの導入に向けた検討を進めています。

そのための社会実験として2022年9月、一般モニターが乗車する形で連接バスの体験乗車が行われます。

モニターの募集は2022年8月12日正午より先着順で行われましたが、一瞬で満席になってしまったようで関心の高さが伺えます。

SRT計画の概要

名古屋市が導入を検討している新たな路面公共交通システムの名称は「SRT」といい、スマート(Smart)さを備え、路面(Roadway)を走ることでまちの回遊性や賑わいを生み出す、今までにない新しい移動手段(Transit)である「Smart Roadway Transit」の略称となっています。

SRTの導入が検討される背景は?

2027年に予定されているリニア中央新幹線の開業を見据え名古屋駅周辺や栄地区の再整備や観光のシンボルである名古屋城天守閣の木造復元など都心部のまちづくりが進められています。

一方、名古屋という都市は、道路空間は広いものの自動車中心であり人の流れや賑わいの連続性が分断されていることから、沿道のまちづくりと連携し、人が中心の歩いて楽しい道路空間の創出が求められています。

また、名古屋駅地区と栄をダイレクトに結ぶ地下鉄東山線が常に混雑状態にあることや名古屋駅から観光名所である名古屋城や大須に行くためには地下鉄の乗り換えが必要といった不便さも指摘されています。

したがって、都心の魅力ある地域をつないで回遊性を高め、賑わいを面的に拡大するため、必要な輸送力の確保と乗降のしやすさなどストレスのないサービスや来訪者を魅了するような移動手段として導入が検討されているのが「SRT」です。

どのようなシステムが導入される?

「SRT」はまったく新しい交通システムのため、車両や走行空間、乗降・待合空間、運行サービスが相互に連携し一体的に機能するシステムが導入されます。

導入が検討されているシステムの具体像は以下のとおりです。

車両

まちなかでの存在感やシンボル性があり、誰もが安心して快適に乗車できる先進的な車両が新たに開発されます。

出典:「SRT」(Smart Roadway Transit) - 名古屋市

具体的には広い車内と魅力的な車両デザインを持つタイヤベースの乗り物となり、正着制御技術などによりスムーズな乗降と快適な乗り心地の実現を目指すとともに燃料電池車両の導入などにより環境負荷の低減が図られます。

走行空間

道路利用者の安全性や利便性に配慮しながら、存在感があり、スムーズで快適な走行環境を創出します。

出典:「SRT」(Smart Roadway Transit) - 名古屋市

走行レーンの着色や路面標示により存在感を高めるとともに歩道側車線の専用レーン化や公共交通の走行を優先する仕組みを検討することにより渋滞などによる運航の遅延の軽減が図られます。

乗降・待合空間

利用者がスムーズに乗降でき、快適に待てる空間とするとともに、歩道との一体性を高め、まちの情報案内機能を備えることで回遊性や賑わいを創出します。

出典:「SRT」(Smart Roadway Transit) - 名古屋市

まちの回遊拠点としてデザイン性の高い上屋や待合用のベンチを整備し、人々が認識しやすい、まちのアイコンとなるような存在感を備えるとともにバリアフリーが確保されたスムーズな乗降空間が導入されます。

また、デジタル案内板や無料Wi-Fi機能の導入により情報スポットとしての機能も持たせます。

運行サービス

早朝から夜間までの運行を基本とし、運行間隔は10分以内、日中は定間隔の運行とすることで基幹的な路線として高い運行サービスが提供されるとともに均一料金制やマナカなど全国相互利用のICカード乗車券が導入、敬老パスや福祉特別乗車券の適用により利用抵抗の少ない料金となります。

出典:「SRT」(Smart Roadway Transit) - 名古屋市

また、車両の複数扉から乗降が可能な方式を採用し、料金収受に伴う利用者の車内移動を減らすことで、スムーズに乗降できる環境がつくられます。

SRTはどこを走る?

出典:「SRT」(Smart Roadway Transit) - 名古屋市

都心の2核である名古屋駅地区と栄地区をダイレクトにつなぐ「東西ルート」により相互の連携強化や沿道の活性化が図られます。

また、名古屋駅地区・名城地区・栄地区・大須地区の拠点間と、その間にある魅力ある地点をつなぐ「周回ルート」により、都心全体の回遊性が高められます。

SRTはいつ導入される?

現時点ではSRTの導入時期は明確になっていません。名古屋市としては、2027年のリニア中央新幹線の開業を見据え、リニア開業時にSRTの導入効果を最大限に発揮することを目指しつつ、できるだけ早期にシステムコンセプトの見える化や課題解決に必要な検証も行いながら段階的に導入を進めるとしています。

導入に向けて、市民や関係者との意識共有を図りながら様々な意見をいただき、課題解決の調整等に取り組むとともに、新しい技術開発の動向にも柔軟に対応していくとしており、今回行われる社会実験もそういった文脈のなかで行われるものと思われます。

SRT社会実験 連接バス体験乗車について

2022年9月3日(土曜日)と4日(日曜日)の2日間、一般モニターが実際乗車する形で連接バスが名駅~栄間を走行するSRTの社会実験が行われます。

連接バスが名古屋市内を実際に走行する社会実験は2020年10月にも行われた(このときは燃料電池バスも走行)のですが、新型コロナの影響により一般モニターの体験乗車などは行われず関係者のみを乗せた走行となりました。したがって、一般モニターが乗車しての走行は今回が初となります。

社会実験の概要は以下のとおりです。

運行日時2022年9月3日(土曜日)、4日(日曜日) 
午後1時から午後6時
走行経路名駅発→栄行(ミッドランド乗車)
栄発→名駅行(三越乗車)
運行本数各日8便(名駅発4便+栄発4便)、1便20分程度
乗車定員全16便で計700席以上
申込日時2022年8月12日(金曜日)正午開始 先着順
申込方法専用申込サイトより申込 ※すでに満席

私も申込もうと思っていたのですが、申込み日である8月12日(金曜日)は登山に行っていて正午の申込みを失念してしまい、13時半ごろに気づいて専用申込みサイトを開いたのですが、時すでに遅し。どの便も満席でした。

おそらく申込み受付開始後、それほど時間を置かずして約700席は満席になってしまったのではないでしょうか。関心の高さを伺わせます。

読者の方の中には体験乗車の機会をゲットされた方もおられるのではないでしょうか。乗車された方のツイッター投稿などを楽しみにしたいと思います。私は沿道から社会実験の様子を取材するつもりです。

-のりもの・交通関係