「(仮称)名古屋丸の内一丁目計画」は、清水建設と富国生命保険、清水総合開発の3社が名古屋市中区丸の内1丁目で進めている地上16階建ての賃貸オフィスビルの建築計画です。
「ZEB Ready」という認証に適合する高い環境性能やコロナ時代に対応した非接触技術、高機能換気システムの導入、基礎免震構造の採用など最新鋭のオフィスビルにふさわしいスペックを備えるとともに名古屋市内で最大級の広さを誇るオフィスフロアが供給される予定です。
「(仮称)名古屋丸の内一丁目計画」の概要
地下鉄桜通線・鶴舞線の丸の内駅で下車し、桜通を西へ名駅方面に向かい、日銀前の歩道橋を渡って少し歩くと、名駅方面に向かって右側(北側)に仮囲いに覆われたビルの建設現場が見えてきます。
「(仮称)名古屋丸の内一丁目計画」は、「名古屋フコク生命ビル」および清水建設グループ所有の駐車場跡地で建設が進められています。
完成イメージです。名古屋旧来からの碁盤割の街並みから着想した、縦と横のフレームが相互に支えあう構造体をデザイン化した外観が特徴で、生命保険会社のビルらしい重厚なフォルムとなっています。
フロア構成は、1階から3階が完全自走式の駐車場、4階から15階が賃貸オフィスフロア、16階がコワーキングスペースとなります。また、基準階のフロア面積は約3,090平方メートル(63メートル×52メートル)、専有部の面積は約2,350平方メートルで無柱のフロアとなります。
「(仮称)名古屋丸の内一丁目計画」の概要は以下のとおりです。
名称 | (仮称)名古屋丸の内一丁目計画 |
所在地 | 名古屋市中区丸の内一丁目16番 |
用途 | 事務所・自動車車庫 |
構造 | 鉄筋コンクリート造 一部鉄骨造、基礎免震 |
高さ | 83.31m |
階数・棟数 | 地上16階(地下なし) |
敷地面積 | 4,820.79㎡ |
建築面積 | 3,318.02㎡ |
延べ面積 | 47,472.12㎡(基準階専有部面積:約2,350㎡) |
建築主 | 清水建設、富国生命保険、清水総合開発 |
設計者・工事施工者 | 清水建設 |
竣工は富国生命保険の創業100周年に当たる2024年1月の予定です。
現地の様子(2022年6月)
桜通を挟んだ南側からの様子。桜通に面する間口の部分がかなり長いことがわかります。
南東側からの様子。市バスの桜通伏見バス停が目の前です。
北西側からの様子。写真右奥にそびえるのは名古屋商科大学名古屋キャンパス丸の内タワーです。高さは85メートルほどです。「(仮称)名古屋丸の内一丁目計画」はほぼ同じ高さになります。敷地面積と建築面積を考えるとかなりの存在感があるビルになりそうです。
地下階はないビルですが、免震ピットの設置のため地下まで掘り下げられています。これだけの面積が掘られていると壮観な光景です。
まだしばらくの間、地下部分の鉄筋工事が続くようです。
これから梅雨の時期に入りますが、巨大なてるてる坊主が吊るされていて、工事の予定通りの進捗を願う工事関係者の想いが伝わってきます。
低層階の自走式駐車場にこの計画のポイントが!
「(仮称)名古屋丸の内一丁目計画」で私がなるほど!と思ったのが、1階から3階が完全自走式の駐車場として計画されていることです。
特に道路に面する1階部分は店舗にしたほうが家賃収入も多そうですし、入居するテナントへのサービスにもなりそうなのに敢えて低層階を駐車場という計画にしたのはなぜなのでしょう?
個人的な考えですが、この計画の立地に起因しているような気がします。
まず、店舗を設ける案ですが、計画地のある伏見通から西側のエリアは東側と比べて微妙に人通りが少ないように思われることから店舗テナントの誘致に意外と苦戦する可能性がありそうです。また、オフィスビルとしては店舗を設けないほうがビルのグレードが上がるという考え方もあります。
また、名駅地区より家賃や駐車場代が割安であることから、多くの営業マンと社用車を抱える企業にとっては広大なオフィスフロアと相まって営業拠点としての利用に最適であることから、出入りしやすい自走式駐車場は大きなアピールポイントになりそうです。
私の推測が合っているのかはわかりませんが、このようなフロア構成にした意図について設計を担当した清水建設の方に是非聞いてみたいものです。