ある日、セントレア行のミュースカイに乗っていたら、神宮前駅到着前、進行方向左側に広大な更地が広がっていました。確か、以前は住宅展示場があって違う場所に移転したはず…。気になったので取材に行ってきました。また、神宮前駅周辺には駅ビルも含めて、気になる開発用地が複数ありましたのでまとめてみました。
住宅展示場跡地の広大な更地はMTG社が取得済み!
まず、冒頭に記した線路沿いの広大な更地についてです。
この土地ですが、広さは2万1718平方メートルあり、もともと神宮東中日ハウジングセンターや日本車輌製造の駐車場として利用されていましたが、2017年10月にMTGという会社が日本車輌製造などから購入しています。
このMTGという会社ですが、「ReFa」「SIXPAD」などに代表される美容・健康機器を製造・販売する企業で東証グロース市場に上場しており、現在は名古屋市中村区本陣に本社を置いています。
現地の様子です。取得当時の新聞報道によると、中村区の本社を同地に移転し新社屋を建設するとともに研究開発センターを併設し、自社ブランドの製品を取り入れたスパやジム、複数の飲食施設なども設ける計画で2020~21年をめどに移転する予定とのことでしたが、現在も更地のままです。
同社の2021年9月期の決算を見ると新商品攻勢により増収増益となり業績は好調のようです。一方、今期(2022年9月期)の経営方針に本社移転の話は一切出ておらず、依然として収束しないコロナ禍やインフレ懸念など先行き不透明感があるなかで、「今じゃないでしょ」ということなのでしょうか。
これだけの規模の土地が更地のまま何年も放置されているのはもったいない気もしますが、独創的な商品を数々世に送り出しているMTG社のことですから、きっと熱田の街を活性化するような施設を造ってくれることを願いたいと思います。
神宮前西口駅ビルは解体中、東口には「ミュープラット神宮前」が開業!
神宮前駅は名古屋本線と常滑線の分岐駅ですべての列車が停車する名鉄でも主要駅のひとつです。名古屋市で観光客が最も多く訪れる熱田神宮の玄関口としての機能も持っています。
この神宮前駅の熱田神宮側の西口にあった駅ビルですが、現在解体工事が進められています。
名鉄は2023年までの中期経営計画で神宮前駅西街区について「おとなの行きたいまち」をコンセプトに開発を進めるとしていますが、現時点では具体的な計画は示されていません。
熱田神宮の目の前であることからあまりにも高い建築物が建てられる可能性は低いと思われますが、名古屋随一の観光施設の目の前ということで、いわば名古屋の顔にもなるわけで、どのような計画を名鉄が打ち出すのか、楽しみに待ちたいと思います。
かつて神宮前駅の北側には踏切が設置されていましたが、開かずの踏切として有名で死亡事故も相次いだため、2012年7月に廃止さています。
神宮前駅東口では、駅直結の商業施設である「ミュープラット神宮前」が2021年7月に開業しました。かつて西口の駅ビルに入居していたスーパーマーケット「パレマルシェ」などが移転してきています。また、名鉄は不動産事業にも力を入れていますが、「ミュープラット神宮前」には12階建ての賃貸マンションである「メリブ神宮前」も併設されました。特急停車駅から直結、商業施設併設の賃貸マンションということで競争力が高そうです。
神宮前駅からは少し離れますが、名鉄が建設を予定しているデータセンター用地です。同社の2022年の設備投資計画に盛り込まれました。名鉄常滑線とJR東海道本線が交差する三角形の敷地に建設が予定されており、2024年に完成予定です。現地ではボーリング調査が行われていました。
神宮前商店街はシャッター街、広大な空き地も放置されたまま…
取材の途中、熱田神宮に参拝し、家族の健康と仕事運の向上、当ブログの発展を祈願しました。
この熱田神宮、1900年以上の歴史を有し、歴代天皇に伝わる「三種の神器」のひとつである『草薙剣(くさなぎのつるぎ)』をまつる由緒正しい神社で年間700万人の参拝客が訪れます。
名古屋観光におけるキラーコンテンツといっても過言ではない同神社ですが、『おかげ横丁』を擁する伊勢神宮などと比べると神社周辺の門前町の“にぎわい”が乏しい状況です。
要因のひとつに再開発事業の失敗があります。
時は1991年、国鉄清算事業団が保有していた旧熱田貨物駅跡地を名古屋市の土地開発公社が購入、市は第1種市街地再開発事業による再開発事業案を計画しましたが、この計画に地元商店主らが猛反対、結局一体的な再開発事業は頓挫することになりました。
2001年には街区の一部に熱田区役所などの複合公共施設が完成しましたが、約0.7ヘクタールの土地は未利用地となっており、現在も更地のまま残っています。
また、その商店主らが営んでいた神宮前商店街は時の経過とともに衰退し、現在はシャッター通りと化しています。
しかし地元の人々も手をこまねいているだけではありません。2018年には商店街や地元NPO、熱田区にキャンパスを置く名古屋学院大学が中心となり「熱田神宮駅前まちづくり協議会」が設立、「観光都市ナゴヤにふさわしい門前町の構築」や「住みたいまち・住みやすいまち―耐震化・不燃化を念頭に―」といった基本方針を掲げ、将来像を模索しています。
ポテンシャルを秘めたエリア! 将来に期待!
今回は神宮前駅周辺を取り上げましたが、考えれば考えるほど、名駅や栄、金山、さらには大須などとも異なる名古屋でも唯一無二の特性を持つエリアではないかと思うようになりました。
その特性を活かせば大きく化ける可能性があるのがこの神宮前エリアではないでしょうか。
なお、個人的にはラグジュアリーホテルが進出するといいな、と思っています。悠久の歴史を有する熱田神宮を借景にできるようなホテルができればこの地区が持つポテンシャルを最大限に引き出せるような気がします。夢を見すぎでしょうか。