名古屋から福井方面に車で行く場合、①名神高速から米原経由で北陸道、②東海北陸道から国道158号・中部縦貫道、という主に2つのルートがあります。
現状では米原経由のほうが全線自動車専用道路を利用できますし、距離も若干短いので多くの方がこのルートを利用すると思われますが、高速料金は東海北陸道経由の方が安くなります。
この東海北陸道経由のルートですが、現在、高規格幹線道路の建設が進められており、2026年春には全線開通の予定です。
また、一般道を経由して岐阜県から福井県に抜けるルートのひとつに国道417号があるのですが、県境部分が未開通で、現在は冠山峠というクネクネした林道が通っているのみです。現在、県境を一気に貫くトンネルの工事が進められており2024年春に開通する予定です。
この2つの道路が開通すれば、名古屋方面から福井方面へのアクセスがより向上するとともに災害時などの冗長性も確保されることになりそうです。 今回、東海北陸道ルートを実走して建設状況を確かめてきました。
長野県松本市から福井市を結ぶ中部縦貫道の一部
中部縦貫自動車道(中部縦貫道)は、長野県松本市を起点とし、岐阜県高山市・福井県大野市を経て福井市に至る約160キロメートルの高規格幹線道路(自動車専用道路)です。飛騨清見JCT~白鳥JCT間は東海北陸自動車道との重複区間となっています。
福井県内についてみると、開通しているのは「永平寺大野道路」(福井北JCT~大野IC間)のみでしたが、2023年3月19日に「大野油坂道路」の大野IC~勝原IC間10.0キロメートルが開通しました。
残り区間は、勝原ICから九頭竜ICの9.5キロメートルと九頭竜ICから開通済みの油坂峠道路に連結する15.5キロメートルの2区間ですが、前者は2023年秋、後者は2026年春に開通する予定です。 福井県区間が全線開通すれば、名古屋から東海北陸道ルートを利用しても全線自動車専用道路を利用して福井市方面に行けるようになり、米原経由のルートと必要に応じて使い分けることができるようになります。
実走レポート(白鳥JCT~福井IC)
名古屋から東海北陸道を走り約1.5時間、白鳥ICから中部縦貫道に入ります。
白鳥ICから県境を越えた大野市の油坂出入口までは「油坂峠道路」という名称です。以前は有料道路でしたが、現在は無料で通行できます。
あの山の向こうはもう福井県です。
かなり大きなΩカーブになっていて高度を上げていきます。
その名も越美通洞というトンネルが県境になっており福井県に入ります。高規格の道路はここまでです。
山間部のカーブの多い道に入ります。工事の関係車両とみられるダンプカーも走っています。
ところどころに工事の基地があって建設工事が進められていることがわかります。
高架橋の橋脚が見えてきました。
盛り土の工事も行われています。
橋梁の工事が行われているようです。
よくあるスローガン広告。いつから掲げられていたのかはわかりませんが、この区間は2026年春に開通予定なのであと3年で念願が叶います。
進行方向左手に巨大なダム湖が見えてきます。九頭竜川をせき止めた九頭竜湖です。
せっかくなので九頭竜ダムに寄っていきましょう。
九頭竜ダムは高さ128メートルのロックフィルダムで洪水の調整や発電を目的としています。1967年(昭和42年)12月に竣工しました。現地は写真で見るより高さを感じます。
九頭竜ダムからしばらく車を走らせると標高を下げ、谷あいの町に出ます。この場所に九頭竜ICが建設されており、今年秋には開通する予定です。
開通すればこの場所から一気に福井市方面に抜けられるようになります。
その近くの国道158号沿いに「道の駅九頭竜」があります。
福井らしく恐竜が出迎えてくれます。
道の駅九頭竜は越美北線の終着駅である九頭竜湖駅に併設されています。
九頭竜駅にやってくる列車は1日4本、九頭竜湖駅発の列車は1日5本です。取材した日は水害の影響で運転を取りやめており、7月29日から通常の運転に戻るとのことでした。
“2024年春 北陸新幹線 福井・敦賀開業”との垂れ幕が。北陸新幹線の開業により現在の北陸本線が第三セクター化されることにより、越美北線は他のJR線と接続しない孤立路線となります。
さらに車を走らせます。日本百名山のひとつ、荒島岳が見えてきました。
この区間は今年秋に開通予定なので高架橋などはほぼ完成した状態にあります。
勝原ICです。ここから福井方面が2023年3月に開通したばかりの道になります。
工事用車両の出入口があります。
いままでのクネクネ道はなんだったんだというような快適な道です。
トンネルで山々を直線的に貫きます。
道の駅があるようなので荒島ICで下りてみましょう。
国道の本線にロータリー交差点が設けられています。珍しいのではないでしょうか。
「道の駅 越前おおの 荒島の郷」です。2021年4月にオープンした新しい道の駅です。
大型スーパーと見紛うばかりの生鮮野菜の販売スペース。
荒島岳に近いからかモンベルも出店しています。モンベルは各地の自治体などと連携して道の駅などへの出店を積極的に行っています。
モンベルが運営するカフェもあります。
先に進みましょう。
新しい道だけあってナビにはまだ登録されていませんでした。
大野ICをパスします。暑いので越前大野城の散策はなしです。
永平寺IC。このあたりはなにげに観光スポットに恵まれています。
中部縦貫道の終点が近づいてきました。地元車両の多くが松岡ICで流出していきました。
福井北ICで北陸道に入ります。
中部縦貫道は片側1車線で追越車線もほとんどありません(荒島IC付近のみ)でしたが、北陸道は片側2車線でより走りやすいです。
福井ICが見えてきました。今回の実走調査はここまでです。
冠山峠道路も2024年春開通!
中部縦貫道とともに福井が近くなるもう一つの道が「冠山峠道路」です。岐阜県揖斐川町から福井県池田町に至る国道417号の7.8キロメートルの道路です。
国道417号は岐阜県大垣市と福井県の南越前町を結ぶ一般国道です。揖斐川の源流域である岐阜・福井県境は未開通となっていますが、林道冠山線を通って行き来することは可能です。
しかし、この林道冠山線、舗装はされているものの1.5車線ほどのクネクネ道が延々と続いており、通り抜けるにはそれなりの運転技量が必要です。
林道名にもなっている冠山は日本三百名山のひとつにも数えられており、それなりの数の登山者があります。
管理人RINTAもコロナ前に冠山に登ったことがありますが、冠山林道はあまり積極的に通りたい道ではないという印象が強く残っています。
そんな冠山林道を通らずに県境を一気にトンネルで貫くのが冠山峠道路です。全長4,834メートルの冠山峠2号トンネル(仮称)を始め、全体の8割がトンネルであり、冬季も問題なく通行できるようになります。
開通予定は2023年度中ですので、2024年の春までには開通する予定です。
今回、帰りに福井側から冠山林道と冠山峠道路の取材をすることを考えたのですが、冠山林道の福井県側が通行止めになっているため断念しました。代わりに冠山に登ったときに取った写真を何枚か掲載します。
冠山峠。登山者はこのあたりに路駐して冠山を目指します。
立派な石碑があります。冠山は揖斐川の源流域にあります。
冠山からの展望。登った日はあまり天候がよくありませんでしたが、山深い場所にあることはお分かりいただけると思います。
少し遠方から見た冠山。トンネルはこの冠山の直下を貫きます。
名古屋と福井を結ぶ2つのルート。開通後、あらためて走ってみたいと思います。