伏見地区

【伊予銀行・山口銀行】地銀の名古屋支店が相次いで建替えへ!

名古屋に支店を置く東海三県外の地方銀行で支店建物の建替えや取壊しの動きが出ています。

愛媛県松山市に本部を置く伊予銀行は、名古屋市中区錦2丁目にある名古屋支店を10階建てのビルに建替えます。また、山口県下関市に本部を置く山口銀行も中区栄1丁目にある名古屋支店の建物を取壊し中です。

伊予銀行名古屋支店の建替え計画の概要

伊予銀行は愛媛県松山市に本部を置く地方銀行で、四国でトップのシェアを誇ります。

同行の名古屋支店は、中区錦2丁目の伏見通沿い、日本銀行名古屋支店のすぐ南側という好条件の場所に立地しています。

現在の支店建物は3階建ですが、これを同じ場所で建替え、賃貸オフィスを併設したビルを建築することになりました。現在地では2022年7月8日まで営業を続け、ビルの建替え工事中は錦2丁目の円山ニッセイビルの6階で仮店舗を営業します。

新ビルの概要は以下のとおりです。

建設地名古屋市中区錦2丁目8番1号(現店舗跡地)
構造・規模鉄骨造・地下1階 地上10階
設計施工清水建設株式会社
用途店舗・事務所
竣工予定2024年6月
出典:名古屋支店建替えに伴う仮店舗移転について

外観イメージです。金融機関らしい重厚さと現代的な軽快さを兼ね備えたデザインです。

出典:名古屋支店建替えに伴う仮店舗移転について

下層階のアップ(路面・賑わいイメージ)です。伊予銀行によると「名古屋市の金融/オフィス街である伏見地区の立地を活かし、地域の賑わい創出や、業務・商業を中心とした都市機能の更なる高度化に貢献」することを企図してビルを建替えるとのことです。

日銀前交差点上の歩道橋からの様子です。伊予銀行の新店舗ビルの建設により伏見通沿いの高度利用がより進むことになります。

伏見通を挟んだ北西側からの様子。奥にはプラウドタワー名古屋錦が見えます。

このエリアは地方銀行の密集エリアでもあります。伊予銀行と通りを隔てて、手前は長野市に本拠を置く八十二銀行、写真ではわかりにくいですが、その奥には福岡銀行の看板があります。ただ、この2行はいずれもビルインの店舗です。

山口銀行名古屋支店跡地は名古屋ビルディングが新ビルを建設?

山口銀行は山口県下関市に本部を置く地方銀行で、広島県を本拠とするもみじ銀行とともに持ち株会社である山口フィナンシャルグループの傘下にあります。

同行の名古屋支店は、栄1丁目の伏見通沿い、御園座タワーのすぐ南側とこちらも好条件の立地です。南側の隣地には愛知県安城市に本部がある碧海信用金庫御園支店の少し奇抜な外観の建物があります。

山口銀行名古屋支店は2021年9月にこの場所から中区錦2丁目のORE錦二丁目ビルの3階に移転、現在は解体工事が進められています。

跡地利用については、山口フィナンシャルグループ・山口銀行からはなんの発表もされていません。ただ、現地の解体工事の労災保険関係成立票によると事業者は清水建設、注文者は名古屋ビルディングとなっています。

また、中部経済新聞のウェブサイトに「名古屋ビルディング 山口銀支店跡に新ビル構想 伏見地区の景観を重視まちづくり貢献へ」(2021年10月18日)をいう記事が掲載されています。

これらのことから、名古屋ビルディングの手により再開発が行われる可能性が極めて高いものと推測されます。

この名古屋ビルディングですが、名古屋駅前の「名古屋ビルディング」や最近竣工した「名古屋ビルディング桜館」を所有する不動産会社です。

ひとつ不思議なのが、山口フィナンシャルグループ・山口銀行が土地を名古屋ビルディングに売却したというプレスリリースが見当たらないということです。

そもそもこれほどの立地の土地を易々と手放す経営者はいないはずです。となると名古屋ビルディングは山口フィナンシャルグループ・山口銀行から借地をしてビルを建てるということになるのでしょうか。 そのあたりのこともいずれ明らかになるのかもしれません。写真で現地の様子を見てみましょう。

御園座タワーとタワーザファースト名古屋伏見の存在感がありすぎますが、山口銀行名古屋支店跡地はこれらのビルの谷間にあります。

現在は薄緑のシートで覆われています。南隣の碧海信用金庫御園支店もなかなかの存在感です。

三蔵交差点南東側からの様子。両隣のビルがいずれもスタイリッシュなだけに、跡地に建てられるビルのデザインセンスが問われそうですが、「名古屋ビルディング」や「名古屋ビルディング桜館」を所有する名古屋ビルディングであれば問題なさそうです。

敷地は飲食店舗が建ち並ぶ「御園通」にも面しています。新ビルには店舗も入って、さらなる「にぎわい」向上に一役買ってほしいものです。

解体の様子。

※クリックで拡大します

労災保険関係成立票には「名古屋ビルディング」の名前を確認することができます。

地銀名古屋支店の建替えは今後も続く?

東海三県外の地方銀行名古屋支店の建替えはこれまでも、丸の内1丁目の滋賀銀行(丸の内Oneビルに建替え)や錦3丁目の広島銀行(名古屋信愛ビルから新・名古屋信愛ビルに建替え、広島銀行名古屋支店はホテル京阪名古屋の2階に入居)などがあり、現在進捗中のものとして、今回ご紹介した2行のほか、中村区名駅5丁目の旧第三銀行(現 三十三銀行)名古屋支店跡地の再開発計画が始動しています。

横浜銀行や静岡銀行の名古屋支店のビルは建築後それなりの年数が経っていてもしかしたら近い将来なんらかの動きがあるのかもしれません。

銀行の建物といえば、大きな交差点の角などに2~3階建ての頑丈そうな建物をどーんと構えて、というイメージが強かったのですが、それは過去の話で、低金利政策が続き、本業の融資だけでは収益を得ることがなかなか難しい環境下では、手数料ビジネスや不動産ビジネスにシフトするのは自然な流れといえます。

そういった流れのなかで、特に伊予銀行の意欲的な計画は本拠地から遠く離れた名古屋という場所でかなりの資金を投じて同じ場所で店舗の建替えを行うという点で注目に値します。

それだけ大通り沿いの好立地の土地のポテンシャルが高いということの裏返しになるのかもしれません。

地方銀行をはじめとする金融機関の動きを注意深く見守っていく必要がありそうです。

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