名古屋市中区栄5丁目で建設中のラグジュアリーホテル「TIAD」(ティアド)の躯体工事が進み、その姿を現しつつあります。
この「TIAD」は、愛知県と名古屋市の高級ホテル立地促進補助金の補助事業第1号に認定されており、ホテルの開業後、所定の手続きを経て、県市あわせて最大20億円の補助金が交付される予定です。
ラグジュアリーホテル「TIAD」の概要
まず立地をみてみましょう。久屋大通公園南エリア東側の一角、以前は「あいおいニッセイ同和損保名古屋栄ビル」が建っていた場所に建設中です。
事業主体は?
「TIAD」の事業主体は山口県下関市に本社を置く「日本セレモニー」という会社です。冠婚葬祭事業を主体にレストラン事業やホテル事業、介護事業や仏壇・墓石事業と幅広く展開しており、グループ全体の売上高は約579億円、パートを含む従業員数は約4,800名を数えます(いずれも2021年1月現在)。
ホテル事業については、山口県防府市の「防府グランドホテル」のほか、岡山や京都、佐世保などで運営を行っており、相応のノウハウを有しているようです。
ホテルの概要は?
ホテルのパースです。現代的かつ落ち着いた雰囲気でラグジュアリーホテルに相応しい外観をまとっています。
建物は地上14階、地下1階建てで高さは59.95m、延床面積は21,571.95㎡、客室数は150室(うちスイートルーム13室)、平均客室面積は51.86㎡です。
また、バンケットルーム(宴会場)が3室、レストランが2店舗にバーが1店舗、スパやフィットネスジム・屋内プールなどが設けられるとともにコンシェルジュデスクやバレーパーキング※といったサービスも行われ、これらは愛知県や名古屋市が補助金の支給要件とするスペックを満たすのに必要十分なものです。
※自分で運転してきた車のキーを係りの人に預けると代わりに車の駐車をしてくれる、また外出時には車を出してくれるサービス
いつオープンするの?
補助金の事業認定申請時での予定開業時期は2023年5月中旬となっています。一方、公式サイトでは“2023 EARLY SUMMER”とあります。また、求人情報サイトでは2023年7月開業と掲載されており、コロナ禍の影響もあって当初の予定より遅れているものと思われます。
現地の様子(2022年1月)
久屋大通公園からみた様子です。2基のタワークレーンがそびえ立っていて迫力があります。
近景です。鉄骨工事がかなり進捗していることがわかります。
このクラスのホテルに宿泊する客層だと電車はあまり利用しないかもしれませんが、地下鉄名城線矢場町駅1番出入口から至近です。
裏側にまわってみます。北東側の様子です。
南東側からの様子です。タワーパーキングと思われる骨組みは最高部まで達しているようです。
敷地は完全な四角形ではなく、敷地南西側にはワンルームマンションと店舗事務所ビルが介在しL字の形状となっています。ただ、敷地面積が2,350㎡あるため、建物の配置的にそこまでのデメリットはなさそうです。
少し離れた場所からの様子です。中央にみえるビルが松坂屋パークプレイスで、その少し右側に2本のタワークレーンがあるのが「TIAD」の建設現場です。
松坂屋パークプレイスの左側のタワークレーンが「プラウドタワー栄パークアリーナ」の建設現場で、高さは59.99mになる予定です。しばらくしたら60m級のスカイラインがこの場所に出現することになります。
現地に掲出されている建築計画の概要です。棟数が2棟となっているのは、ホテル本体と駐車場棟(タワーパーキング)が別々の建物になっているからだと思われます。
確かにパースをみると別々の建物であることがわかります。
久屋大通公園の南エリアの今後も気になります
今回の取材で久屋大通公園の南エリアを久々に歩きました。大津通と比べると人流がかなり少なく都会のエアポケットのように感じられ、「RAYARD Hisaya-odori Park」の出現により新たな名古屋のシンボリックゾーンとなった久屋大通公園の北エリアとの落差が激しいように思われました。
当然、将来にわたってこの状態で放置されるのではなく、将来のあり方について有識者からの提言も行われおり、具体的に「ミツコシマエ ヒロバス」という暫定施設も稼働中です。
ただ、そろそろその先の情報が出てきてもいいような気がしています。「TIAD」が開業するころには久屋大通公園の南エリアの将来像も明確になっていることを願いたいと思います。
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