中村区

【クレーンが林立!】三菱重工岩塚工場跡地に巨大物流施設「ロジポート名古屋」が2023年7月の竣工を目指し建設中!

名古屋市中村区の三菱重工岩塚工場跡地で東海地方最大級となる巨大物流施設「ロジポート名古屋」の建設が進められています。

現地に様子を見に行ってみると、広大な敷地にクレーンが林立しており、超高層ビルの建設現場とはまた違った迫力がありました。どんな施設になるのでしょうか?

ロジポート名古屋の概要

まず立地をみてみましょう。

周辺地図(出典:東急不動産プレスリリース
広域地図(出典:東急不動産プレスリリース

大都市中心部近くでこれだけの規模の物流施設が建設されるのは珍しい

名古屋駅から南西方向に約4.8kmの名古屋都心部に近接する中村区岩塚町で建設が進められています。この場所には、航空機用エンジンの鋳鍛造部品などの産業用機械を製造していた三菱重工の岩塚工場がありましたが、研究開発などの一部の機能を残し別工場に移管されたことにより閉鎖され、2021年に解体されています。

名古屋高速5号万場線「烏森IC」から約2.2km、地下鉄東山線・JR関西本線・近鉄名古屋線の3線が乗り入れる「八田」駅から徒歩8分であり、トラックなど車輛の乗り入れにも従業員の通勤にも申し分のない立地です。

規模についてみると敷地面積は約15.7万平方メートル、延床面積は35.5万平方メートルで4階建ての複数のテナントが入居するマルチテナント型の物流施設となります。大都市の中心部に近いエリアにこれだけの規模の物流施設が建設されるのは珍しいケースといえます。

事業主体は?

「ロジポート名古屋」の事業主体は、ラサール不動産投資顧問、東急不動産、NIPPOの3社が共同で出資する特定目的会社(SPC)です。このSPCが三菱重工から2021年に約300億円で土地を買い上げました。

SPCの出資者のなかで、ラサール不動産投資顧問という会社はあまり馴染みがありませんが、米系の不動産投資顧問会社です。簡単にいうと投資家から集めたお金で不動産投資を行い、そこから得られた収益を投資家に配当という形で還元するという事業を行っています。

ただ、その事業規模がザ・グローバルで、世界中の公的年金基金や企業年金基金、保険会社、政府関連、企業、大学基金などのありとあらゆる機関投資家などを顧客に持っており、総運用資産残高は約730億米ドル(2021年6月末現在)に及びます。

そのラサールと総合デベロッパーである東急不動産、ENEOSグループの一員で国内最大手の舗装事業者であるNIPPOが手を組んで開発するのが「ロジポート名古屋」です。

施設の概要は?

パースを見てみましょう。描いてあるトラックの絵と比べると大きいのだな、ということはわかりますが、あまりピンとはきません。

出典:ラサール不動産投資顧問 「ロジポート名古屋」の詳細情報

施設概要は以下のとおりです。

施設名ロジポート名古屋
所在地愛知県名古屋市中村区岩塚町字高道1他(地番)
敷地面積157,042.27㎡ (約47,505坪)
延床面積355,109.45㎡ (約107,420坪)
構造鉄筋コンクリート造、一部鉄骨造、地上 4階建、制震構造
用途マルチテナント型物流施設
着工2022年 2 月 1 日
竣工2023年 7 月31 日(予定)
設計監理監修株式会社日立建設設計
設計施工清水建設株式会社
施主名古屋プロパティー特定目的会社

また、プレスリリースによると施設の特徴詳細は以下のとおりです。

・ 各階への着車を可能にするランプウェイを 2 基採用
・ 床荷重 1.5t/㎡、梁下天井有効高 5.5m 以上、柱スパン 10m 以上を備えた汎用性の高い仕様
・ 最小約 880 坪の分割利用から、約 5,000~10,000 坪の 1 フロアオペレーションにも対応可能
・ AI による車両管制システムや電気自動車の充電スタンドを配備し、入居テナントに付加価値を提供
・ 全館 LED による省エネ対策、雨水再利用システムや太陽光発電設置による再生可能エネルギーの活用による環境負荷への配慮。名古屋市の CASBEE(建築環境総合性能システム)で「S ランク」を取得見込
・ 制震構造を採用した揺れに強い構造、浸水対策、72 時間対応の非常用発電の設置等により、入居テナントの BCP 対応に寄与
・ 地域に溶け込む優しいファサード(外観)や、敷地周囲の歩道・ランニングロードの整備など、地域との共生に配慮した施設を計画

現地の様子(2022年4月)

建築計画の概要です。2021年6月に掲出されています。

「ロジポート名古屋」ではなく、現地の看板は「(仮称)名古屋岩塚物流センター」という名称になっています。施工を担当するのは清水建設です。

南西側からの様子。

ゲートが開いていたので内部の様子が伺えました。

北側の佐屋街道からの様子です。周辺は片側1車線の道路が中心で、トラックの通行量の増加によるキャパオーバーが心配です。まあ、そのあたりはうまいことオペレーションするのでしょうが…。もともと大きな工場があったからか、近隣対策に長けているからか、周辺では特に反対運動などは起こっていないようでした。

敷地東側の様子。延々囲いが続きます。

敷地全体を俯瞰できる場所があったので、そこから写真を撮ってみました。クレーンが林立する様は、まさに大迫力です。

アップで撮ってみました。建ち並ぶクレーンの向こうに名駅のビル群がそびえ立ちます。

名古屋周辺では物流施設の建設が相次ぐ!

新型コロナウイルス感染症拡大の影響による巣ごもり需要の拡大とともにネット通販がますます隆盛し、配送のための拠点となる物流施設に対するニーズが大都市圏を中心に高まっています。

名古屋圏では、物流用地としてもともと小牧インター周辺などが人気のエリアでしたが、名古屋第二環状自動車道の全線開通などもあり、最近では名古屋港臨海部で「DPL名港弥富」(ダイワハウス・延床面積約21万平方メートル・2022年5月竣工)や「ESR 弥富木曽岬ディストリビューションセンター」(ESR・延床面積約15.3万平方メートル・2022年4月竣工)など巨大物流施設の開発が相次いでいます。ESRは直近の4月11日にも港区本星崎町に約4.9万平方メートルの物流施設を建設することを公表しています。

そういった状況のなかで「ロジポート名古屋」の有する、都心部に近接した立地と延床面積35.5万平方メートルという規模は特異なものであるといっても過言ではないでしょう。

あと1年後には姿を現す巨大物流施設。ある意味でコロナ時代を象徴するもとのいえるのかもしれません。

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