最新鋭のハイブリッド車両「HC85系」の投入により、近い将来その役割を終えることになる「キハ85系」。富山で所用があったので名古屋から富山まで特急「ひだ」で往復してひとあし先に別れを惜しんできました。
1日4本の富山直通1番列車の「ひだ3号」に乗車
富山に直通する「ひだ」は1日に4往復設定されており、このうちもっとも早く名古屋駅を出発するのが8時43分発の「ひだ3号」です。
現時点で、最新鋭車両のHC85系は高山-富山間には投入されておらず、全列車がキハ85系で運行されています。ただ、同区間でも2022年12月1日よりHC85系が投入されることが決まっており、今回乗車する「ひだ3号」と富山駅を13時02分に発車する「ひだ14号」が置き換えの対象となります。
名古屋駅11番線に停車中の「ひだ3号」です。見慣れた光景ですが、もうしばらくすると見られなくなってしまいます。
名古屋駅発車直後の“ワイドビューチャイム”と車内放送。HC85系では“アルプスの牧場”が採用されたので「ひだ」で“ワイドビューチャイム”が聴けるのはもうしばらくの間です。
東海道本線を18分で走り抜け金華山が見えてくると岐阜に到着します。
岐阜駅で座席の向きのほうに進行方向が変わり高山本線に入ります。
長森-那加間で東海北陸道をくぐります。この道を走る高速バスの名古屋-富山間の所要時間は3時間37分で「ひだ3号」の3時間48分より10分ほど早く走ります
トイレの様子。改造された車いす対応の洋式トイレになっています。ただし、ウオシュレットはありません。
引き上げ線にたたずむHC85系が見えてくると……
美濃太田に到着します。同駅を出てしばらくすると飛騨川沿いの山岳区間に入ります。
今回指定されたのは進行方向に向かって左窓側のD席でした。高山本線は全般に右窓側のA席側のほうが景色はいいように思われます。
鉄橋を渡るとたまにD席側でも飛騨川の景色を望むことができます。
錦秋の中山七里をゆきます。
下呂駅に到着しました。この駅から高山方面に向かう乗客が乗り込んできます。外国人観光客らしき人もいました。
分水嶺となる宮トンネルを抜けると列車は高山盆地に入ります。
定刻で高山駅に到着しました。この日は7両編成でしたが、後ろの4両を切り離し、8~10号車(指・自・G)の3両で富山に向かいます。
駅名標は撮影できませんでしたが、猪谷駅に到着しました。この駅でJR東海からJR西日本の営業エリアになり乗務員も交代します。
立山連峰が見えてきました。もう冠雪しているところもあります。
北陸新幹線の高架が見えてきます。
そして神通川の鉄橋を渡ると……
富山駅に到着です。
「ひだ」のヘッドマーク。もうしばらくすると見納めになります。
富山駅には試運転のため「HC85系」も姿を見せていました。
HC85系と北陸新幹線「つるぎ」
試運転列車が発車します。4両編成でした。
さて、富山での所用をすませるとしましょう。
夕刻の「ひだ20号」で帰名
翌日、夕刻の富山駅。
富山を17時14分に発車する「ひだ20号」で名古屋に戻ります。
列車はすでに入線しています。
名古屋まで乗り換えなしで帰れるのはラクに感じます。
帰りの列車でも北陸から飛騨に向かうと思われる外国人観光客の姿を見かけました。
この季節、17時を過ぎると外は暗く車窓は楽しめそうにないのでこちらを楽しみます。
高山で増結し、行きとおなじ7両編成になります。
岐阜駅に着きましたがいっこうに発車する気配がありません。車内放送によると貨物列車が車両点検を行っている関係で東海道本線は運転を見合わせているとのこと。
名鉄に振替輸送を行っているとのことで車内には誰もいなくなってしまいました。私は名鉄岐阜駅まで歩くのが億劫なので「ひだ20号」にとどまることにします。
ほどなくして列車は動き始めました。貨物列車が停まっているのは熱田駅で、「ひだ20号」は尾張一宮までは行くとのこと。最悪、臨時停車した尾張一宮駅で名鉄に乗り換えることも考えます。
しかしなんの放送もなく尾張一宮駅をしれっと通過し、25分遅れで名古屋駅に到着しました。
認知度がいまいち?な「ひだ号富山往復割引きっぷ」を利用!
今回の富山往復では「ひだ号富山往復割引きっぷ」を利用しました。普通車指定席利用で通常15,300円(通常期)のところ、13,040円で往復できます。
ただ、名古屋-米原間、金沢-富山間の新幹線利用ができる「北陸往復割引きっぷ」が15,600円で発売されており、「ひだ号富山往復割引きっぷ」のほうが安いですが、少しマイナーなようで、名古屋駅の窓口で買おうとしたところ、若い窓口係の人はこのきっぷの存在をしらなかったのか、マニュアルを必死にまさぐっていました。
また、そもそも論ですが名古屋-富山間の移動は東海北陸道経由の高速バスが料金も安く、所要時間も「ひだ」よりも少し短く、運行本数も多いことから優位性があります。
しかし、個人的には窮屈な感じがする高速バスよりは鉄道移動のほうが好きであり、余命いくばくもない?キハ85系での富山往復は充実した時間でした。
遅れも含めると2日間の間でキハ85系に8時間強乗っていたことになり、多少疲れましたが、去りゆく名車両を堪能することができました。
次はHC85系で冬の高山や富山への旅を楽しめればいいな、と思いました。