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【近未来予測】千種ビル群が再開発される?

地下鉄東山線とJR中央線が交わる千種駅すぐに建つ高さ85.6メートルの「千種ニュータワービル」をはじめとする「千種ビル群」。これらのビル群が取り壊されて再開発されるのではないかという噂があります。

この噂が本当だとしたら名古屋の街にとってかなりインパクトのある再開発計画になる可能性を秘めています。

果たしてこの噂は本当なのでしょうか?

検証してみると、まったく根拠のない噂ではないことがわかりました。

今回の記事では噂の信ぴょう性を検証するとともにどのような再開発が行われるのか妄想予想してみました。ぜひ最後までご覧ください!

千種ビル群の概要

まず千種ビル群ってなに? というところから説明をはじめます。

千種ビル群の建っている敷地は、もともと高校野球で有名な東邦高校の校舎がありました。

同校が移転した跡地を住友生命が買収、1979年に「住友生命千種ビル」が建設されました。その後、「住友生命千種第二ビル」「住友生命千種第三ビル」と順次建設され、1991年にビル群で最も高い建物である「住友生命千種ニュータワービル」が建設され現在に至ります。

ガラス張りの目立つビルです。錦通を車で走っていると目に入るのでなんとなく思い浮かぶという方も多いのではないでしょうか。なお、「千種」という名称が用いられていますが、所在地は千種区ではなく東区葵3丁目になります。

ビル群の最寄りとなる千種駅ですが、地下鉄東山線とJR中央線が乗り入れており、名古屋市の東の玄関口となっています。地下鉄東山線千種駅の乗降客数は25,810人(2019年度)であり名古屋市営地下鉄87駅中8位、JR中央線千種駅の乗降客数は28,241人(2019年度)で「特急しなの」を含むすべての列車が停車します。

噂は本当なのか?

次にうわさの信ぴょう性について検証してみましょう。

検証1 土地・建物の所有状況は?

敷地と建物の登記を調べると2013年3月に住友生命から積水ハウスに売買によって所有権が移転していることがわかりました。

ビル名はいつの間にか「住友生命千種ニュータワービル」から「千種ニュータワービル」へとしれっと変わっていますが、旧名称が今でも用いられることが多いので住友生命の所有とばかり思っていました。

本記事の執筆は2022年3月ですので積水ハウスが購入して9年も経過していることになります。

積水ハウスといえば、名古屋では御園座タワーや池下でタワーマンションの供給実績がありますし、その池下では、「グランドメゾン池下ザ・タワーⅡ」の工事に取り掛かろうとしています。

【関連記事】準備工事が着々と!【グランドメゾン池下ザ・タワーⅡ】

マンションデベロッパーが将来の再開発含みで古くなったオフィスビルを購入し、収益物件として運用しつつ、テナントの退去を進めるというケースはままあります。

一般的な再開発事業のように地権者の合意を取り付ける必要はない一方、入居テナントとの退去の交渉など、それはそれで労力を要するプロジェクトですので時間がかかるのは仕方ありませんが、水面下での動きがどの程度進んでいるのか気になるところです。

検証2 テナントの募集状況は?

オフィス仲介会社のサイトで「千種ニュータワービル」の募集状況を検索すると、いずれも募集停止中と表示されます。少なくとも新規にテナントを入れることはしていないようです。

現地のテナント表示です。かなりの数の企業が入居中であることがわかります。

一方、館内を歩くと空室が目立ち閑散とした状況です。

ビルの案内図もボロボロになったままです。今後も貸しビルとして運営していくのであればきちんと修繕するでしょうから、敢えてお金をかけていないものと思われます。

聞くところによると、現在入居中のテナントに対して契約を定期借家契約に切り替え、期限が来たら退去してもらうようにしているとのことです。

結論 噂はおそらく本当。ただし動き出すのはしばらく先か?

上記2点の検証を踏まえると積水ハウスは着々と準備を進めており、近い将来、千種ビル群が建替えられるという噂はおそらく本当のことだと思われます

ただ、定期借家契約に移行したテナントの完全退去までまだまだ年数が必要でしょうし、それから建物を取り壊してとなると早くとも2020年代後半から2030年代にかけてとなるのではないでしょうか。

また、その時々の経済情勢にも影響されるのでタイミングを見計らって、ということになるでしょう。

再開発が行われるとしたら…

それでは、仮に千種ビル群の敷地が更地化され、再開発されるとしたらどのようなものになるのでしょうか? ほとんど妄想の世界ですが予想してみましょう。

◎本命 タワーマンション+商業施設

事業者や立地から考えて最も可能性が高そうなのがタワーマンションと食品スーパーなどが入った商業施設の組み合わせです。「納屋橋西地区市街地再開発事業(アクアタウン納屋橋+ピアゴ)」や「錦二丁目7番再開発事業(プラウドタワー名古屋錦+タチヤ)」のようなイメージです。

「納屋橋西地区」同様、オフィス棟も設けられるかもしれませんが、極めて限定されたものになる可能性が高いと思われます。

一方、タワーマンションは敷地規模から考えて高さ150メートル以上のツインタワーも想定されるのではないでしょうか。

千種駅周辺にはすでに「アクオシス千種」(高さ108.43メートル)や「ライオンズタワー千種」(高さ97.1メートル)、「グランスイート千種タワー」(高さ101.3メートル)などが建ち並んでおり、仮に千種ビル群跡地にタワーマンションが建設されるとすると名古屋でも有数のタワーマンション密集地帯が出現することになります。

▲単穴 オフィスビル主体の再開発

現在の千種ビル群がオフィスビル主体であることを考えると、再開発計画にオフィスビルが組み込まれることも考えられます。東京・六本木ヒルズや大阪・OAPタワーのように巨大なオフィスタワーがレジデンス棟を従えるというイメージです。

しかし当ブログとしては、オフィスビル主体の再開発になる可能性は低いと考えています。

理由としては、現在の千種ビル群が建設された当時の右肩上がりの経済情勢とは異なり移動の効率性が求められる時代となり、名古屋で最も広域アクセスの拠点性が高い名古屋駅周辺にオフィスビルが集積するなか、敢えて千種という立地で大型のオフィスビルを供給したところで需要は限られると考えられるためです。

×大穴 ラグジュアリーホテルも入った複合施設

積水ハウスはマリオット・インターナショナルと組んで大阪や京都でラグジュアリーホテル「セントレジスホテル大阪」や「W Osaka」、「ザ・リッツ・カールトン京都」の建設にも関わっています。

であるならば、千種の再開発においてもラグジュアリーホテルを含む複合施設となる可能性はあるのでしょうか。

残念ながらその可能性は低いのではないでしょうか。理由としては、やはり広域的な交通アクセスや都心からは微妙に外れた立地であるということが挙げられます。

気長に発表を待ちましょう!

千種ビル群の再開発について状況証拠的には固いということがわかりました。

問題は再開発がいつ行われるかですが、管理人は積水ハウスの関係者でも関係者に知り合いがいるわけでもありませんので全くわかりません。(いたとしても教えてくれないでしょう)

計画が発表されるのはおそらくすべてのテナントの退去にめどが立った段階になるでしょう。そういった意味ではまだまだ時間がかかりそうです。

実現するとすればかなりインパクトのある千種ビル群の再開発、過度に期待せずに気長に待ち続けるしかないようです。

-東区