愛知県は、スタートアップの創出・育成・展開を図るための中核支援施設「STATION Ai(ステーションエーアイ)」を整備します。
整備されるのは名古屋市昭和区の鶴舞公園南側の愛知県勤労会館跡地で、地上7階建て、延べ面積23,098平方メートルの施設が建設され、2024年10月にオープンする予定です。
「STATION Ai」の概要
「STATION Ai」は、愛知県が2018年10月に策定した「Aichi-Startup戦略」の一環として、スタートアップの創出・育成やオープンイノベーションを促進するために、国内外のスタートアップ支援機関・大学との連携等を通じて、様々な支援サービスを提供する施設です。
「STATION Ai」の施設整備は、PFI 法に基づき、事業者が自らの提案を基に施設の設計・建設を行った後、愛知県に施設の所有権を移転する方式(BT:Build Transfer)により実施されます。
また、運営・維持管理は、愛知県が事業者に対して、施設の運営権を委ね、事業者がスタートアップなどに対するサービスの提供を行う形(コンセッション事業)となります。
事業者には、ソフトバンクが設立した特別目的会社であるSTATION Ai株式会社が選定され、2021年10月に事業契約が締結されています。契約金額は14,348,330,933円(消費税含む)です。
「STATION Ai」の概要は以下のとおりです。
名称 | 愛知県スタートアップ支援拠点整備事業 STATION Ai |
敷地の地名地番 | 名古屋市昭和区鶴舞1丁目201番ほか |
用途 | 事務所、飲食店舗、集会所、宿泊施設、展示場 |
構造 | 鉄骨造 |
高さ | 29.79m |
階数 | 地上7階 |
敷地面積 | 7,303.87㎡ |
建築面積 | 4,489.49㎡ |
延べ面積 | 23,614.90㎡ |
建築主 | STATION Ai |
設計者 | 石本建築事務所 |
工事施工者 | フジタ |
着工 | 2022年11月1日頃(準備工事は2022年8月1日頃) |
供用開始 | 2024年10月 |
鶴舞公園の南側、空港線の東郊通1交差点を東に入った場所が建設地です。
完成イメージ図です。
日本最大のインキュベーション施設にふさわしい、イノベーションをかき立てるようなIoTやAI、ロボット、ビッグデータ解析をはじめとするたくさんの先端技術が備わる施設になるとのことです。
各フロアをスロープでつなぐことにより、建物全体がひとつながりとなる空間構成となっています。
1階からM(メザニン)3階は誰もが気軽に訪れて利用できるゾーンとなり、2階の飲食スペースでは、1Fで行われているスタートアップのピッチイベントなどを見ることができます。
ロボットなどの最新技術に触れたり、交流の場として活用可能な、カフェやレストランが設けられます。イメージ図に描かれている配膳ロボットのようなものは先日ガストで見かけた気もしますが…。
M3階から6階はスタートアップや企業のワークプレイスとなります。オフィスフロアのイメージです。
入居者同士のコミュニケーションが生まれるよう、各階をスロープでつなぎひとつながりとなるスパイラルフロアが採り入れられます。ドローンが荷物を運搬している様子も描かれていますね。
現地の様子(2022年9月)
建設地南西側からの様子。白い仮囲いが見えます。
東側からの様子。土地の形が三角形なので、東端は狭くなっています。
鶴舞公園南駐車場からの様子。かなり長い土地であることがわかります。
南側から建設地内部の様子。現在は土工事が行われています。
建築計画の概要。2022年6月20日に設置されました。
「STATION Ai」は鶴舞公園の南側に立地します。所在地は“つるまい”ですが、公園は“つるまこうえん”です。1909年(明治42年)に開設された名古屋市が設置した初の公園です。桜の名所としても有名で名古屋市民の憩いの場となっているほか、複数の公共施設が立地しています。
鶴舞公園では2023年3月の完了を目指し公園整備事業が進められています。
Park-PFIを活用し、正面南・秋の池・熊沢山の3つのエリアの整備と、公園全体での魅力を向上するための取組みが行われます。事業者は矢作地所を代表とする共同事業体です。
彫刻像がミイラのようにぐるぐる巻きにされていてビビります。
公園内にある名古屋市鶴舞中央図書館。現在の建物は1984年に建てられています。
写真左側は1930年(昭和5年)に完成した名古屋市公会堂です。登録有形文化財にも指定されています。右側奥に建つのは名大病院(公園外)です。
鶴舞公園にはその昔動物園があったそうです。1918年(大正7年)に開園、1937年(昭和12年)に東山動物園に移されたとのことです。
名古屋発のイノベーション創出拠点に期待!
愛知県はトヨタ自動車を頂点に製造業が集積していることもあり、エリート層ほど安定した大手製造業への就職を求め、起業する人が少ないというイメージがあります。
しかし、デジタル化や脱炭素といった環境の変化により、今後産業構造が大きく転換することは必定であり、もはや大手企業に就職すれば安泰という時代ではないのかもしれません。
時代が大きく変化するなかで、スタートアップを強力に支援する「STATION Ai」の開設は優秀な起業家を呼び込み、名古屋発のイノベーション創出拠点となるのでしょうか? 期待が高まります。