三井不動産が運営するPark-PFIを活用した公園一体化型の商業施設の新ブランド「RAYARD(レイヤード)」。
現在、東京・渋谷の「RAYARD MIYASHITA PARK(レイヤード ミヤシタパーク)」と名古屋の栄・久屋大通の「RAYARD Hisaya-odori Park(レイヤードヒサヤオオドオリパーク)」の2施設が展開されています。
JR山手線などの線路と明治通り、渋谷川の暗渠に挟まれた比較的狭い空間に商業施設がギュッと詰まった渋谷、名古屋を象徴する100メートル道路の真ん中ある広大な公園に商業施設が整然と建つ久屋大通。2つの「RAYARD」を見比べてみました。
全長330mの立体都市公園「RAYARD MIYASHITA PARK」
「RAYARD MIYASHITA PARK」は、2020年7月28日(火)に開業しました。当時拡大傾向にあった新型コロナウイルス感染症の3密回避のため、先行して物販店舗とサービス店舗が開業し、8月4日(火)に飲食店舗と食物販店舗が開業するという段階的な開業となりました。
各線渋谷駅から徒歩3分という交通至便な場所にあります。みずほ銀行渋谷支店の向かって左側にあった駐輪場は撤去され、公園へ通り抜けできるようになっていました。
ハチ公を意識しているのでしょうか? ワンコっぽいオブジェが出迎えてくれます。こちら側の建物は南街区です。
まず目に入ってくるのが「渋谷横丁」です。G7広島サミットのために来日したイギリスのスナク首相が渋谷横丁で焼き鳥を楽しんだのも記憶に新しいところです。
日本各地の“飲み屋”のほか、アニメや 2.5 次元などとのコラボ、ご当地ママのスナック、演歌アーティストや DJのパフォーマンスとなんでもありで、24時間年中無休というのもさすが東京です。
渋谷横丁を抜けた北街区の建物1階にはルイ・ヴィトンやグッチ、プラダなどの高級ブランドの路面店が集結していて、なかなかのギャップです。
明治通りに架かる歩道橋から北街区方面を望みます。いちばん奥に立つのは「sequence MIYASHITA PARK」というホテルで18階建て、240室の客室を有します。
反対を向くと街路樹の彼方に渋谷駅前の超高層ビル群を望みます。
建物内に入ってみます。開放感のあるエスカレーターでまずは屋上へ。
屋上が「渋谷区立宮下公園」になっています。アーチ状に組まれた天蓋が特徴です。
一部は芝生になっています。このあたりは久屋大通と似ていますね。
至るところが腰かけられるようになっています。公園なのであたりまえといえばあたりまえなのですが。
なぜかドラえもんのオブジェが。そういえば、虎ノ門ヒルズには22世紀のトーキョーからタイムマシンに乗ってやってきたネコ型ビジネスロボット“トラのもん”がいますし、東京の施設はドラえもん好きですね。
「RAYARD MIYASHITA PARK」はインモールとアウトモールのハイブリッド構造が特徴です。
通りに面したアウトモール部分。開放感があります。
こちらはインモールの吹き抜け部分。
開業から約3年経過し、一部店舗の入れ替えなども発生しているようです。
名古屋ではパークのいちばん北側にある天狼院書店もインモールに入っています。
施設のすぐ西側にはJR山手線や埼京線の線路が。このギュッと詰まった感が東京だなと思わされます。
Park-PFIとして日本最大規模「RAYARD Hisaya-odori Park」
続いて「RAYARD Hisaya-odori Park」です。
「RAYARD MIYASHITA PARK」から遅れること1ヶ月半、2020年9月18日(金)に開業しました。飲食・物販あわせて全35店舗が出店しています。
渋谷と比べるとゆったりしている印象があります。
「RAYARD Hisaya-odori Park」といえば名古屋の象徴のひとつである中部電力MIRAI TOWERとミズベヒロバの水盤が外せません。
逆さMIRAI TOWERです。
「RAYARD Hisaya-odori Park」の開業により栄の人の流れは明らかに変わりました。
栄の超高層化時代のトップバッターでまもなく完成する中日ビルと「RAYARD Hisaya-odori Park」です。栄に複数の超高層ビルがそびえる時代がそこまで来ています。
さまざまなイベントが開かれる場所もあります。取材した日は占い?のイベントが開かれていました。
芝生の奥には再開発されることが明らかになった「名古屋パナソニックビル」と「トヨタホーム栄ビル」が建っています。まだ少し先ですが、この場所から見る景色も大きく変わることになります。
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そして、解体が始まった「セントラルパークアネックス」です。
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桜通を超えるとゾーン2に入り、店舗の密度がすこし下がります。このあたりの配置の妙はさすが三井不動産です。また、緑がかなり多いこともわかります。
名古屋にはドラえもんやトラのもんはいませんが、スヌーピーとチャーリーブラウンがいます。
ゾーン2といちばん北のゾーン1との間には道路があり、歩行者用信号を渡らなければなりません。剥げた横断歩道をなんとかしてほしいものです。
いちばん北側のゾーン1には店舗は天狼院書店しかなく、ほぼほぼ芝生の広場となっています。
テントを張ったイベントが行われていたり、子どもが走り回っていたりと市民が思い思いの時を過ごす場所になっています。
公園は外堀通までです。外堀通の上を名古屋高速都心環状線が走り、その北側は官庁街となっています。少し距離がありますが、名城公園方面までの導線を整備してもいいのではないかと思いました。
人の流れが変わったことが再開発を促す?
東京と名古屋、それぞれの「RAYARD」をご紹介しましたがいかがだったでしょうか。
個人的にはそれぞれの立地の特性を活かしていて、どちらも素晴らしい施設だと感じました。
管理人のRINTAは東京時代、一時渋谷で働いていたことがあるのですが、当時の宮下公園はどちらかというとうっそうとした感じであまり近づくことがなかった場所なので、その変貌ぶりに驚かされました。
名古屋ではここへきて久屋大通周辺で「アネックスビル」の建て替えや「名古屋パナソニックビル」と「トヨタホーム栄ビル」の再開発計画が浮上するなど大きな動きが出てきています。
ひとついえることは、インパクトのある再開発が行われることにより、人の流れが変わることにより別の再開発を促すという面があるということです。
渋谷と久屋大通、ふたつの「RAYARD」は、まちの新陳代謝を促す起爆剤になったといっても言い過ぎではないような気がします。