東急ハンズや無印良品などが入り栄キタのショッピングスポットとしてにぎわっていた「セントラルパークアネックス」(アネックスビル)が2021年10月に閉館して1年半強。ここへきて大きな動きがありました。
2023年5月12日、現地に「建築物等の解体等の作業に関するお知らせ」が掲出されました。それによると同年5月15日から2024年9月30日の期間で解体工事が行われるとのことです。
気になるのは跡地がどのように利用されるかです。地権者をひも解くと跡地利用のヒントが見えてきそうなので調べてみました。
権利関係はなかなか複雑なようだ…
「建築物等の解体等の作業に関するお知らせ」によると解体工事の発注者は株式会社セントラルパークアネックス他12名とありました。
建物の登記を調べてみたところ、共有になっていました。
株式会社セントラルパークアネックスと三交不動産それぞれの持ち分を足すと過半を超え、残りは不動産会社もしくは資産管理会社らしき法人が1社、残りは複数の個人の持ち分となっています。
建物の敷地になっている土地は17筆に及び、かなり細分化されています。建物の持ち分は地権者の土地の所有面積などの割合によって按分されているのではないでしょうか。
閉館から解体作業の開始まで1年半以上の期間を要したのは地権者の数が多いことも要因のひとつなのかもしれません。
アネックスビルに囲まれた「桜錦ビル」も同時に解体か?
桜通側から見ると、アネックスビルに三方向を囲まれたビルがあることがわかります。
このビルは「桜橋ビル」で、テナントがすべて退去した空ビルになっており、アネックスビルと同時に解体される可能性が高そうです。
この「桜錦ビル」ですが、旧名は「石川銀行ビル」でした。
石川銀行といえば乱脈経営で経営破綻した銀行で、北陸銀行や北國銀行などに分割営業譲渡されています。このビルの所有者は石川県の法人で、営業譲渡を受けた銀行となんらかの関係のある不動産会社などだと思われます。
このビルの竣工は1971年7月と築後50年以上経過しているので、アネックスビルと一体の再開発に乗ったのではないでしょうか。
低層階は商業施設? 上層階はオフィス?ホテル?
現在の建物の持ち分をもっとも多く持っている株式会社セントラルパークアネックスは地下街のセントラルパークを運営する株式会社セントラルパークの子会社です。
株式会社セントラルパークのメインの株主は名古屋テレビ放送(メーテレ)で、同社と株式会社セントラルパークアネックスの社長は名古屋テレビ放送の元専務が務めています。
次に持ち分を多く持っている三交不動産ですが、かつてアネックスビルの東急ハンズを運営していたのは同社の持ち株会社である三交グループホールディングスの完全子会社の三交クリエイティブ・ライフという会社で、三交不動産もアネックスビルの運営に深くかかわってきたことがわかります。
内情を知っているわけではないのであくまで推測ですが、株式会社セントラルパークや株式会社セントラルパークアネックスは社員数からしても再開発を主導するデベロッパー的な機能を持っていないものと思われ、三交不動産の力を借りながら他の地権者との調整を行いつつ再開発を進めていくのではないでしょうか。
三交不動産といえば、名駅周辺でホテルやオフィスビルなどの開発を積極的に行っています。
同社が主導するとすれば、地下を含む低層階はセントラルパークやRAYARD Hisaya-odori Parkとの連携を強化した商業施設、上層階はオフィスやホテルというような構成が考えられます。
現在のアネックスビルが開業した1986年当時は地下鉄桜通線も開通していませんでした。それが現在ではRAYARD Hisaya-odori Parkの開業などにより周辺は見違えるように変化しています。
立地のポテンシャルを活かしたアッと驚くような計画が出てくることを期待したいと思います。