名城公園北側の大津通沿いで2025年夏の完成を目指し「愛知県新体育館」の工事が進められています。2022年7月7日に起工式が行われ、現在は杭工事が行われていて重機が乱立する壮観な光景が広がっています。
前回の取材は旧公園施設の解体工事が行われていた2022年5月でしたので5か月ぶりの取材となります。
「愛知県新体育館」の概要
現在の愛知県体育館が完成したのは1964年のことです。以来半世紀以上、大相撲名古屋場所の開催などを通じて親しまれている施設ですが、老朽化により規模や機能がスポーツの国際大会を開催するための水準を満たさなくなっています。
このため、2026年に開催予定のアジア競技大会に利用できるよう、新体育館の整備を進めることになりました。
「愛知県新体育館」は、現在の名古屋城二の丸から名城公園北側の一部に移転新築され、メインアリーナ、サブアリーナ、多目的ホールなどで構成され、延床面積約58,400㎡、建物高さ約41mという世界トップクラスの施設水準となります。
施設の概要については前回の記事で詳細に解説していますので、詳しく知りたい方は下記をご覧ください。
前回記事
現地の様子(2022年10月)
大津通を挟んだ建設地南東側からの様子。クローラークレーンや杭打機などの重機がまさに“乱立”しています。
大津通の西側には現在、地下鉄名城公園駅の出入り口はありません。
名城公園北交差点からの様子。名古屋の道路の広さを感じさせる場所でもあります。
大津通に架かる「愛知学院大学名城公園キャンパス歩道橋」から望む建設地全体の様子。重機類は建設地南側に投入されています。
名古屋城天守閣と名駅の超高層ビル群を背景に工事が進められています。躯体が建ち上がると段々見えなくなるのでここ1~2年の期間限定の景色かもしれません。
建設地を一周するとまあまあいい運動になります。
ランナー向けの施設「tonarino(トナリノ)」のテラスから見た建設地の様子。現在はゆったりとした時が流れる場所ですが、新体育館の完成後、イベント開催時にはこのあたりではカオスな光景が広がることになりそうです。
名城公園駅構内の案内図。現在は2か所しかない出入口が新体育館の建設に伴い増設される予定です。
名城公園駅構内の様子。正直いって全国や海外からの来訪者を迎えるには古臭すぎて名古屋の印象が悪くなりそうな構内空間ですが、リニューアルが行われる予定です。
当面は杭工事が続くものと思われます。
現在の愛知県体育館(ドルフィンズアリーナ)。新体育館の完成は2025年の夏なので、2025年の大相撲名古屋場所に間に合うかどうかはわかりませんが、現在の愛知県体育館での名古屋場所の開催はあと2回か3回ということになります。
バリアフリーや名城公園駅のキャパオーバーの問題を解決して世界トップクラスのアリーナの出現を期待!
前回、当ブログで「愛知県新体育館」の状況をお伝えしたのは2022年5月でしたが、その後、6月にバリアフリーの問題が持ち上がりました。
問題となったのは、メインエントランスとなる高さ7.4メートル、49段の大階段にスロープやエスカレーターが設けられず、車いすなどの利用者は1基しかない15人乗りのエレベーターを利用するしかないという、ユニバーサルデザイン的にどうなの? という設計です。
事業者側と障碍者団体などとの話し合いの場が持たれたことにより屋外エスカレーターやスロープの追加、エレベーターの大型化などの改善策が示されましたが、それでも一部からは根本的な解決にはなっていないとの意見が示されているようです。
また、個人的に気になっているのは名城公園駅のキャパシティーの小ささです。現在、同駅は出入口が2つしかなく、エレベーターは1基のみ、それも「愛知県新体育館」とは大津通を挟んで反対側の名古屋造形大学名城公園キャンパスの北側です。
大津通をくぐる形で新体育館の1階エントランス付近に新たなエレベーター付きの地下鉄への連絡通路が増設される予定ですが、これだけの施設の規模ですので相当余裕のある設計にしないと危ないような気がします。
名城公園駅のキャパシティーのみならず、地下鉄名城線そのもののキャパシティーにも懸念の声があります。愛知県体育館移転関連工事説明会で寄せられた意見に下記のようなものがありました。
これに対する愛知県と名古屋市の回答です。
このように様々な問題点も指摘されていますが、走りながら問題点を一つ一つ改善していき、2025年夏の完成時には世界トップクラスのアリーナがここ名古屋の地に出現することを期待したいと思います。