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【中川運河堀止地区開発】名古屋都心部に希少なウォーターフロント空間出現へ!

ささしまライブの南側にある中川運河堀留地区について、名古屋市がにぎわい施設の整備に向けた事業提案を募集し、開発事業予定者としてJR東海系の名古屋ステーション開発株式会社が選定されました。

2026年3月までに3階建てのホテルやトレーラー屋台村などが整備され、名古屋の都心部に希少なウォーターフロント空間が出現します。

「中川運河堀留地区開発事業」の概要

名古屋市と名古屋港管理組合が2012年10月に策定した「中川運河再生計画」において中川運河堀留地区は「にぎわいゾーン」と位置付けられています。

具体的には、ささしまライブ24地区の開発と連携し、緑地・プロムナードの設置や、にぎわい施設の誘導、水上交通の運航などの施策を展開して、運河の魅力と回遊性を高め、人びとが訪れたくなるようなエリアを目指すというものです。

名古屋ステーション開発を代表法人とする事業者が最優秀提案者に

この計画を具体化させるため、2023年3月に事業者の公募が行われました。

公募には3事業者の応募があり、審査の結果、名古屋ステーション開発を代表法人とする事業者が最優秀提案者に選ばれました。

次点提案者は名鉄都市開発を代表法人とし、名鉄のほか、中京テレビ放送や愛知大学などささしまライブの“住民”を構成員とする事業者でしたが、選外となりました。なお、3位の提案者は公表されていません。

名古屋ステーション開発の提案概要

それでは、名古屋ステーション開発の提案概要について見てみましょう。

用地はA~Cの3ゾーンに分かれています。それぞれ設けられる施設などは以下のとおりです。

出典:名古屋市「中川運河堀止地区開発提案募集の開発事業予定者を決定しました」

外観イメージパースです。ホテルとトレーラー屋台村のほか、堀留の水面上に描き入れられている筏(いかだ)のようなものは自動で堀留を周遊する船だそうです。

出典:名古屋市「中川運河堀止地区開発提案募集の開発事業予定者を決定しました」

用地A上に設置されるホテルのイメージ。3階建て25部屋程度と小規模で、バーを併設し、1階はロビーのほか、運河を巡る「クルーズ名古屋」の待合所になるとのことです。

現地の様子(2023年9月)

堀留の南西側より。ささしまライブのビル群が水面に映えます。

用地Aの南東側より。以前はかなり建て込んだ倉庫街でしたがかなりスッキリしました。興味のある方はGoogleのストリートビューで過去の様子をご確認いただければと思います。

反対側を見てみます。少し行くと大須通があるのでエリアは完全に分断されます。写真左手には民泊として利用されていたマンションがあったのですが、つい最近解体されました。

用地Aは2,389平方メートルですが、細長い土地だからかかなり広く見えます。

道路を挟んで向かい側はコインパーキングになっています。今回の堀留開発を契機にあちら側にも商業施設の設置が期待されます。

名古屋高速の高架下にあるのが用地B(802平方メートル)と用地C(2,685平方メートル)です。

そういえば、名古屋駅前にあった「飛翔」が堀留の名高速高架下に移設されるという話もありましたが、完全に潰えましたね。

一部は広場として整備済みです。

クルーズ名古屋のチェット売場。土日祝のみの運航です。

現状ではささしまライブから堀留地区にいく人の流れはほとんどありません。

アクセスが気になるが…

現地取材してみて思ったのは堀留地区へのアクセスの悪さです。そもそも名駅エリアからささしまライブへの距離もそれなりにあり、それよりさらに遠いとなると相当インパクトのある施設でないと厳しいのではないかと思いました。

一方、中日新聞によると名古屋ステーション開発はJR名古屋駅からささしまライブまでの高架下も整備し、観光客が約1キロの道のりを楽しみながら歩いて堀留に行けるようにする取り組みも進めるとのことです。

名古屋ステーション開発は、JR名古屋駅の「名古屋うまいもん通り」や「FASHION ONE」、JR東海の主要駅でASTYなどの商業施設を運営するほか、高架下の開発事業を行っています。

最近では、リニア中央新幹線の工事で使用休止となったJR名古屋駅1番線ホーム上に期間限定で「世界の山ちゃん」を誘致し、ある意味奇抜?な施策で注目されました。

そういった意味では、JR名古屋駅からささしまライブまでの高架下の整備というのは非常に期待が持てます。

また、今回の提案で名鉄グループは選外となりましたが、今後予定される名鉄名古屋駅再開発では、区域のいちばん南側の現日本生命笹島ビルはささしまライブ地区に近接しており、名駅地区とささしまライブ地区の橋渡し的な存在になることが期待されます。

したがって、堀留地区の今後の発展は名鉄グループの協力も不可欠といえ、JR系と名鉄系という相克を超えてともに手を取り合うことも必要になるものと思われます。

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