名古屋市中村区名駅4丁目でオー・ティー・ワン特定目的会社が建設中のオフィスビル「名駅4丁目OTプロジェクト」について2基のタワークレーンが稼働を始めました。昨年6月ごろに工事が開始されましたが、地下躯体の工事が完了し、今後、地上鉄骨建方工事が本格化するものと思われます。
「(仮称)名駅4丁目OTプロジェクト」の概要
「名駅4丁目OTプロジェクト」の建築主であるオー・ティー・ワン特定目的会社は名鉄などが出資する特定目的会社(SPC)であり、不動産証券化のスキーム(仕組み)を利用して建設されています。
名鉄は自社の不動産部門を切り離し、名鉄不動産と統合し2022年4月に名鉄都市開発を立ち上げるなど不動産部門の強化を図っています。「名駅4丁目OTプロジェクト」はその一環として、白川第三ビル跡地で進めているオフィスビル開発プロジェクトです。
「名駅4丁目OTプロジェクト」の概要は以下のとおりです。鉄骨造地下2階・地上16階建て、高さ79.00メートルのビルが建設されます。
名称 | (仮称)名駅4丁目OTプロジェクト |
敷地の地名・地番 | 名古屋市中村区名駅4丁目801番、802番、803番 |
用途 | 事務所、店舗、飲食店、自動車車庫 |
構造 | S造、SRC造、RC造 |
高さ | 79.00m |
階数・棟数 | 地上16階 地下2階 1棟 |
敷地面積 | 1,811.04㎡ |
建築面積 | 1,263.21㎡ |
延べ面積 | 19,932.37㎡ |
建築主 | オー・ティー・ワン特定目的会社 |
設計者 | 大成建設 |
工事施工者 | 大成建設 |
完成予想図です。
現地の様子(2022年5月)
まずミッドランドスクエアの展望台から敷地の状況を確認してみましょう。ややL字型の変形した土地であることがわかります。
街区全体の様子です。かつてこの街区は東から「白川第三ビル」「菱信ビル」「三井ビル北館」という3棟のビルが建っていましたが、いずれも老朽化していたためほぼ同時期に解体、街区一体での再開発が期待されていましたが、「菱信ビル」北側の地権者が先行して2階建ての商業ビルを建設しました。
このため、街区一体の再開発はできなくなり「菱信ビル」跡地の南側の一部と「三井ビル北館」跡地に「名古屋三井ビルディング北館」が建設され、「白川第三ビル」跡地に「名駅4丁目OTプロジェクト」によるオフィスビルが建設されることになりました。
泥江町通のスクランブル交差点からの建設地の様子です。場所的に飲食店などの路面店が設けられるのではないでしょうか。
2基のタワークレーンの奥に名駅の超高層ビル群が揃い踏みです。
地上16階建て・高さ79.00mの「名駅4丁目OTプロジェクト」は、地上20階建て・高さ99.75mの「名古屋三井ビルディング北館」には高さでは及びませんが、奥行きがあることからこの場所から見るとかなり立派に見えるようになりそうです。
錦通をはさんだ南側からの様子。今後建設が進むとミッドランドスクエアがだんだんと見えなくなります。
南西側からの様子です。
設計・施工は大成建設が担当します。
「白川第三ビル」がそうであったように新ビルもミヤコ地下街と直結するものと思われます。現在はやや寂しい感があるので、賑わいが取り戻せるとよいのですが。
一体開発にならなかったのが返す返す残念だが…
不動産に詳しい知人から聞いたところによると、商業施設を建てた旧「菱信ビル」北側の地権者は入居テナントからかなり高額の賃料を受け取っているそうです。
一体再開発であればイニシアチブが取れなくなる一方、単独で貸せば立地的に高額な賃料を受け取れるので、そりゃ敢えてリスクを取らないよね、となり、人様の土地のことなので他人がどうこういう話ではないのでしょうが、名古屋の街づくりという点からは返す返す残念だな、と思います。
ただ、過ぎてしまったことをいくら言っても詮無いことです。「名古屋三井ビルディング北館」は敷地規模や高さからしても立派なビルだと思いますし、「名駅4丁目OTプロジェクト」も名駅の一等地に相応しい“しつらえ”を持つものと思います。今後の建設工事の進捗を期待して見守りましょう。