名古屋市中区錦3丁目の本町通沿いにある「万兵第2ビル」で解体工事が始まりました。
先日、プラウドタワー名古屋錦の隣接地にオープンした「タチヤ」の取材に赴いた際、解体が始まったことを知り気になったのであらためて取材に行ってみました。
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万兵は老舗の衣料品卸売会社、錦周辺に複数のビルを所有
万兵は昭和2年創業の呉服問屋として発祥した老舗の衣料品卸売会社です。婦人衣料や呉服などを百貨店や量販店、専門店などに卸しています。
今回解体が行われる「万兵第2ビル」は本町通沿いの錦3丁目に建つ地上9階建てのビルで、1972年の完成から約50年が経過しています。
同社は、本町通を挟んだ錦2丁目に1992年に完成した「万兵第1ビル」も所有していて、本社はこちらに置かれています。
万兵が本社を置く錦2丁目は長者町繊維問屋街として、東京の横山町や大阪の丼池筋と並ぶ日本三大繊維問屋街として戦後の高度成長期に発展を遂げてきましたが、国内繊維産業の衰退やバブル崩壊により問屋の廃業が相次ぎ街の空洞化が問題になりました。
しかし、栄と名駅の間にあるという立地のよさから、マンションやオフィスビルの建築が相次ぐとともに古くなったビルをリノベーションし、カフェや雑貨店などを入居させるケースも多くみられ、街は再び活気を取り戻しています。
現地の様子(2022年6月)
錦3丁目といえば名古屋を代表する夜の街(歓楽街)ですが、「万兵第2ビル」の建っている場所はそこまで歓楽街色が強くはない場所です。写真左側は「万兵第1ビル」です。
「万兵第1ビル」のテナント表示。自社で使用しているのは一部のみで、残りはテナントに貸しています。
「万兵第2ビル」の3軒隣で解体工事が行われています。
「カガミビル新築工事」とあります。建築主は個人で以前あったビルを建て替えるようです。設計・工事施工者は「万兵第2ビル」解体工事の注文者と同じ大和ハウスです。用途は「テナントビル(事務所・物販店・クリニック・飲食店)共同住宅」とあります。
歓楽街色が強くないといっても、近くには風俗店もあります。この混沌さが「錦」という感じです。
「万兵第2ビル」の東側には「ホテル名古屋ガーデンパレス」が建っています。同ホテルは私学共済(日本私立学校振興・共済事業団)が運営していて、建設されたのは1996年とそこまで古くはなく盛業中であることから一体として再開発される可能性はほとんどないと思われます。
本町通を少し北にいくとオフィスビルが建ち並ぶ一角もあります。左側手前のガラス張りのビルが「パシフィックスクエア名古屋錦」、その奥が「ORE錦二丁目ビル」です。いずれもREIT(不動産投資信託)のオリックス不動産投資法人が所有しています。
ちなみに「ORE錦二丁目ビル」には建替えのため移転した山口銀行名古屋支店が入居しています。
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跡地は順当にいけばオフィスビルに建替え?
さて、解体後の跡地はどうなるのでしょうか?
現地の労災保険関係成立票によると、解体工事の注文者は大和ハウスです。
登記を確認していないのでなんともいえないのですが、万兵はおそらく土地を手放すことなく、万兵の資金負担によりダイワハウスの設計・施工で建替え計画を進めることになると思われます。
さきほどご紹介した3軒隣の「カガミビル」は様々な用途のテナントビルになりますが、「万兵第2ビル」も同じような用途になるのでしょうか。
確かに大和ハウスといえば商業施設の建築に強いイメージがあり、店舗を主体としたテナントビルとなる可能性もなくはありません。
しかし、当ブログの勝手な予想ですが、店舗主体のテナントビルではなく、オフィス主体のビルに建て替わる可能性が高いと考えます。
理由としては、建築主になるであろう万兵は老舗の衣料品卸売会社であり企業イメージ的に店舗主体のビルを建てるとは考えにくいこと、敷地規模からしても店舗主体のビルだとテナントを埋めにくいこと、「万兵第1ビル」でもオフィスとして貸している実績があること、などです。
したがって、店舗が入るとしても路面に面した1階部分のみ、2階より上は事務所といったオフィス主体のビルが建つというのが当ブログの予想です。 果たして予想は当たるのでしょうか。建替え計画が明らかになった段階で答え合わせしてみたいと思います。
【2022年6月28日追記】気づくのが遅れたのですが6月21日付の建通新聞電子版に「大和ハウス工業名古屋支社が万兵第2ビル跡地にオフィスビルを新築する計画」との記事が掲載されていました。2025年完成予定とのことです。当サイトでは今後の動きにも引き続き追っていきたいと思います。