山梨取材記の続きです。リニア中央新幹線 山梨県駅(仮称)の現在の様子を取材したあと、山梨実験線とリニア見学センターを見てきました。
前回記事
「山梨実験線」の概要
山梨実験線は、1977年から宮崎県の宮崎実験線で行われていた超電導磁気浮上鉄道の技術開発について、勾配やカーブ、トンネル突入やすれ違いなど、実用化に向けたより実践的な実験をより長い距離で行うために設けられました。
実験線の区間は笛吹市境川から上野原市秋山までの全長42.8キロメートル、このうち大月市笹子町から都留市朝日曽雌までの18.4キロメートルが先行区間として1997年に完成し走行実験が開始されました。
2011年に先行区間での走行試験を終了、延伸工事が進められ、2013年8月に実験線全線が完成し、走行試験が再開されました。現在はL0(エル・ゼロ)系と同系の改良型による営業開始に向けた走行実験が日々行われています。
「山梨実験線」の状況
山梨実験線の起点は笛吹市の境川地区にあります。
とはいってもぷっつり切れた高架橋があるのみです。
起点の地点から車を10分ほど走らせ花鳥山展望台へ。
花鳥山展望台からは実験線の様子が一望できます。
花鳥山展望台にあるモニター。訪れたのは日曜日なので走行実験は行われていませんでしたが、実験日は走行位置がわかるようです。
展望台から見える山の名前の案内板があります。日本の山岳標高第2位の南アルプス・北岳や第3位の間ノ岳の名前がありますが、残念ながらこの日は雲に隠れて見えませんでした。ちなみにリニア中央新幹線のルートは写真の左方にカーブし、静岡・長野県境の稜線上にそびえる小河内岳(おごうちだけ・標高2,802メートル)付近で南アルプスを貫通します。
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実験線の軌道上にはポールのようなものが立てられていますが、当然架線柱ではなく、何らかのケーブルを繋ぐ支柱のようです。実際の営業線ではどうなるのでしょうか。
都留市朝日曽雌には、実験線の車両基地があります。先行区間の終点だった地点です。実験線はもう少し東の上野原市秋山地区まで伸びていますが、そこまで行くのは1車線の林道を延々と走らなければならないので今回の取材では断念しました。
一見するとなんだかわかりませんが、手前のシェルターの中にリニアのガイドウェイが走っており、奥の建物は車両基地になっています。
高台に全体を俯瞰できる場所があります。
山中に突如として出現した秘密基地のような感じで、なんだかカッコよいです。
リニアの超電導に必要な液体窒素の貯蔵タンクがありました。
リニア見学センターでリニアへの関心の高さを知る
「山梨県立リニア見学センター」は、山梨リニア実験線での走行試験の開始に合わせ1997年4月に開館した山梨県立の博物館型見学施設です。
山梨リニア実験線や実験センターに隣接しており、走行試験の様子を見学したり、超電導リニアやリニア中央新幹線の概要を模型や各種展示物によって紹介しています。
2014年4月には新館である「どきどきリニア館」が開館し、2003年に世界最高速度を記録した試験車両であるMLX01-2がシンボル展示されています。
「山梨県立リニア見学センター」の駐車場です。大月ICから15分ほど走った高台にあります。駐車台数はたっぷり確保されていますが、施設までは少し歩かなければなりません。名古屋ナンバーの車も何台か見かけました。
「どきどきリニア館」の外観。シンプルな3階建ての建物です。
館内に入るとすぐにMLX01-2と対面できます。ちなみに名古屋・金城ふ頭のリニア鉄道館に展示してあるのはMLX01-1で形状が少し異なります。
館内ですが、小学校の社会見学っぽい団体や夏休みの親子連れなどで賑わっており、リニアに対する関心の高さを伺わせました。彼ら彼女らが大人になるころにはリニアでの移動が当たり前になっているのでしょうか。
ドアが上方に開いているのを除けば、かつて東海道新幹線などを走っていた新幹線0系といわれてもわからないようなカラーリングです。なお、L0系ではドアは横開きになっているとのことです。
車内の様子も見学できます。窓が航空機っぽいですね。
超電導の原理を教えてくれる実験の実演もありました。
山梨県駅のジオラマ。中央自動車道から直結する様子も再現されているようです。
映像でよく見かけるアーチ橋と実験線が目の前です。
わくわく山梨館1階にある「ショップ2027」。少なくとも2034年までは開業しないリニア中央新幹線ですが、2027の名前でけなげに営業を続けています。
今回は日曜日の訪問だったので走行実験の様子は見ることができませんでした。次回は時間を作って走行実験が行われる平日に再訪したいと思います。