名古屋駅西口の「ゆりの噴水」は2022年に撤去された同駅東口の「飛翔」と同様、1989年の名古屋市政100周年を記念して設置されたモニュメントです。名古屋市の花であるユリの花びらをイメージしたデザインで名古屋駅の待ち合わせ場所のひとつとして長年利用者に親しまれてきました。
その「ゆりの噴水」ですが、リニア中央新幹線名古屋駅の建設に伴う西側駅前広場再整備に伴い撤去されることになり2023年2月15日から作業が行われています。
取材した2月18日の段階ではゆりの“花びら”部分はすでに撤去され、土台部分が残るばかりとなっていました。
“花びら”は秒速で撤去!
名古屋口太閤通口を出ると白い仮囲いが見えてきます。
ポップな字体で『ゆりの噴水撤去中』と書かれていますが、下に貼られている在りし日のゆりの噴水の写真が遺影のようでなんとも…。
撤去工事は3月20日まで行われます。作業時間帯は昼間と夜間に分けられています。人通りの少ない夜間に廃材の搬出などを行うのでしょうか。
「飛翔」の撤去はかなり時間がかかりましたが、こちらは秒速でした。ゆりの“花びら”部分は数日間で撤去されました。
ゆりの噴水とJRハイウェイバス乗り場との間にあったベンチも撤去されています。
史跡案内図も撤去されたのか、コピーが貼られています。
撤去工事の仮囲いがあるため一時的に通路が狭くなっています。
一方、こちら側はリニア中央新幹線名古屋駅の工事の関係で行き止まりになっていることから人通りはありません。
名古屋駅西側駅前広場再整備が本格化か
名古屋駅西側駅前広場再整備の今後について確認しておきましょう。
名古屋市は、名古屋駅西側エリアの目指す姿として、重層的な拠点形成を掲げ、駅前広場の地下や上空なども活用し、交通連接機能の立体的な配置や総合案内機能を導入するなど、スーパーターミナル駅にふさわしい魅力的な拠点の形成を目指す、としています。
そのなかには西口に建設されると噂されている超高層ビルの構想も含まれているものと思われます。
しかし、重層的な整備には相当な時間がかかることから、リニア中央新幹線の開業時を目指して、早期にリニア効果が発揮できるよう平面レベルの限られた空間のなかで整備を行うこととし、2021年9月にデザイン検討業務の公募型プロポーザルが行われ、雲型の屋根を重なり合わせて配置するデザイン案が選ばれています。
今回、ゆりの噴水が撤去されたことにより、名古屋駅西側駅前広場再整備は本格化していくのではないでしょうか。2026年のアジア大会や2027年のリニア中央新幹線の開業(延期される可能性が高いですが)に向け、どのように変わっていくのか、楽しみです。