リニア中央新幹線

【リニア中央新幹線】岸田首相が名古屋-大阪間の環境アセスを2023年着手と表明!

2022年5月28日、山梨県のリニア中央新幹線の試験車に試乗した岸田首相は、名古屋-大阪間の未着工区間の環境影響評価(アセスメント)について「全線開業の前倒しを図るため、2023年から着手できるよう、必要な指導・支援を行っていく」と表明しました。

環境影響評価制度(環境アセスメント)とは、開発事業の内容を決めるにあたって、それが環境にどのような影響を及ぼすかについて、あらかじめ事業者自らが調査・予測・評価を行い、その結果を公表して、国民、地方公共団体から意見を聞き、それらを踏まえて環境の保全の観点から総合的かつ計画的により望ましい事業計画を作り上げていこうとする制度です。

環境アセスメントは、大規模な開発事業を実施する際に避けては通れない重要な手続きです。裏返せば、手続きを進めることにより事業計画がより具体化していくことになります。

リニア中央新幹線の開業スケジュールは当初、東京-名古屋間が2027年、名古屋-大阪間は2045年とされていましたが、国による財政投融資を活用した貸し付けにより、東京-大阪間の全面開業が8年前倒しとなり、最短で2037年となる可能性があります。

一方、静岡県内の「南アルプストンネル」掘削工事の影響で大井川の水量が減少する問題で、静岡県知事が同県内の工事の着工を認めておらず、東京-名古屋間の2027年の開業は絶望的な状況となっています。

今回の岸田首相の発言ですが、参院選に向けたリップサービスという側面もあるのかもしれませんが、東京-名古屋間の環境アセスメントが完了し、国土交通省が着工許可を出したあとに大井川の水量問題がクローズアップされ、こう着状態に陥ってしまったという経緯があることから、名古屋-大阪間については、最初から国がある程度関与するという意思を明確にしたものとも捉えることもできます。

今後ですが、まだ明確になっていない名古屋-大阪間のルートや中間駅の設置場所についての議論がかまびすしくなっていきそうです。

中間駅が設けられるのは三重県と奈良県ですが、三重県駅については亀山市付近とすることに異論が少ない一方、奈良県駅は、県内の奈良市・大和郡山市・生駒市の3自治体が誘致を表明していて三つ巴の争いになっています。さらにルートとして予定されていない京都市も名乗りを上げていて、中間駅をめぐる綱引きが続きそうです。

岸田首相は、静岡県からの要請を受け環境保全に関する有識者会議を近く設置することを同じ場で表明しています。

有識者会議で建設的な議論が行われ、一刻も早くこの問題が解決することを望みます。

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