リニア中央新幹線勝川非常口は、名古屋駅から岐阜県可児市まで続く全長34.2キロメートルの「第一中京圏トンネル」に7か所設けられる非常口のひとつで名古屋駅側から2つ目の非常口で深さは74メートルあります。
国道19号を名古屋市内から北に向かうと庄内川を渡り春日井市に入ってすぐ、進行方向左手に巨大な円筒形の躯体が構築されているのが見えてきます。
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リニア中央新幹線勝川非常口の概要
リニア中央新幹線のターミナルである品川駅・名古屋駅周辺は建物などが密集し高度に市街化が進行していることから、両ターミナル周辺の区間は土地所有者などによる通常の使用が行われていない「大深度地下」にトンネルを掘って軌道を築く工事が行われています。
掘られているトンネルはシールドトンネルといって外径が約14メートルの円筒の形をしています。また、立坑を約5キロメートルの間隔で設置し、立坑内でシールドマシンを組み立てて隣ないしその次の立杭まで掘り進めます。
また、リニア中央新幹線が開通し営業運転を開始したあとは非常口として異常時の乗客の避難やトンネル内の換気、保守作業のために使用されます。
勝川非常口の位置図です。春日井市勝川町の庄内川左岸、国道19号の西側に設けられます。周辺は工場地帯となっています。
非常口の設備イメージです。内部にはトンネル内部の換気を行うための換気設備、消音設備や微気圧波対応設備、列車通過時の風圧対策のための開閉設備、避難用のエレベーターや階段など必要な設備がおさめられる計画です。
勝川非常口の工事はニューマチックケーソン工法により行われます。
この工法はあらかじめ地上で下部に作業室を設けた鉄筋コンクリート製の函(ケーソン)を築造するとともに、作業室に地下水圧に見合う圧縮空気を送り込むことにより地下水を排除し、常にドライな環境で掘削・沈下を行って所定の位置に構築物を設置する工法で、橋梁の基礎、シールド工事立坑、ダムの基礎等、地下構造物に幅広く用いられていています。
リニア中央新幹線勝川非常口の工事の概要は以下のとおりです。
工事名称 | 中央新幹線勝川非常口新設 |
工事場所 | 愛知県春日井市勝川町内 |
工事契約期間 | 2018年9月6日~2023年4月2日 |
工事概要 | 外径約40m、深さ約74mの非常口を新設 (工事施工ヤード約4,430㎡) |
工事工程です。現在はニューマチックケーソン工程で躯体が地下に構築されていっているものと思われます。工事の完了は2023年4月で、以降シールドマシンで地下トンネルが掘り進められる予定です。
現地の様子(2022年6月)
庄内川に架かる国道19号の勝川橋を渡ると左手に勝川非常口の工事現場が見えてきます。
アップです。
青色のクレーンのようなものは排土キャリアで、ケーソン内で掘削された土砂を地上に排土する設備です。この設備の下に土砂ホッパがあり、土砂をダンプトラックに積み込んで場外に排出します。
施行はフジタが担当しています。恥ずかしながらフジタが大和ハウスグループということを今回初めて知りました。
コンクリートミキサー車がひっきりなしに行き来しています。
コンクリートポンプ車もフル稼働し、生コンクリートをじゃんじゃん流し込んでいます。「↑品川方」と表示してあるのがリニア中央新幹線の工事現場っぽくて少し萌えます。
工事の邪魔になりそうだったのであまり近づいて写真を撮ることができませんでした。
至るところに交通誘導員が配置されコンクリートミキサー車を誘導していました。