リニア中央新幹線

リニア中央新幹線・名古屋駅からトンネルはどこまで続く?【第一中京圏トンネル】

リニア中央新幹線の名古屋駅は、東海道新幹線ほか各線の名古屋駅と交差する形で地下30メートルほどの場所に設けられます。

名古屋駅を発車した品川行の上り列車は「第一中京圏トンネル」という長大なトンネルをしばらく走るのですが、このトンネルはどこまで続いているのでしょうか。

第一中京圏トンネルの長さは?

リニア中央新幹線の品川駅~名古屋駅間285.6キロメートルのうち、トンネルは実に86%(246.6キロメートル)を占めます。

その中で最も長いトンネルが、東京側のターミナルである品川駅から神奈川県相模原市の橋本駅付近に設置予定の「神奈川県駅」まで続く約36.9キロメートルの「第一首都圏トンネル」、次に長いのが今回の記事のテーマである「第一中京圏トンネル」で全長は約34.2キロメートルあります。

なお、3番目に長いトンネルは南アルプスを貫く「南アルプストンネル」で長さは約25キロメートルです。このトンネルの静岡県内での工事において大井川の水資源の保全を巡りJR東海と静岡県の対立が続いており2027年の開業が危うくなっていることはご存じのことと思います。

第一中京圏トンネルの概要

冒頭に記した、第一中京圏トンネルは名古屋駅からどこまで続いているかという問いに対する答えは、岐阜県可児市までとなります。

途中、名古屋市中村区、中区、東区、北区、守山区、愛知県春日井市、岐阜県多治見市を通りますが、この区間は全域が地下区間となります。

また、名古屋市中区丸の内から春日井市坂下町までの17キロメートルの区間は「大深度地下利用法」の認可を受け、用地買収や補償金の支払いなしで事業が進められる予定です。

この大深度地下使用区間では、シールドトンネルといってシールドマシンという機械を使ってトンネルを掘り進んでいく工法が用いられます。このためトンネルを施工するための立坑が約5kmの間隔で設置され、開業後は非常口やトンネル内換気、保守作業のために利用される予定です。

第一中京圏トンネルに設けられる主な設備等は以下の通りです。

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第一中京圏トンネルの品川方出口はどんな様子?

第一中京圏トンネルの品川方の出口はどんな様子なのでしょうか。まず場所から確認してみましょう。第一中京圏トンネルの品川方出口は岐阜県可児市久々利というところにあります。

地理院地図にJR東海ウェブサイトのリニア中央新幹線 ルート・工事マップをプロット

東海環状自動車道と交差し、少し東にいった地点が出口になります。ため池から流れ出た小川が流れる谷間の地形となっていて、この区間が明かり区間となります。ただ、この明かり区間はほんの一瞬です。時速500キロメートルで走るリニアの車窓からはまばたきする間もなく通り過ぎてしまうことでしょう。

現地の様子です。工事用の三角コーンなどが置いてありますが、これは東海環状自動車道の補修工事のもので、リニア中央新幹線の工事は現時点では全く行われていません。

トンネル出口と思われる付近の様子。灌木が生い茂ったままです。杭らしきものが刺さっていますが、リニア中央新幹線関係のものなのか、東海環状自動車道の工事関係のものなのかわかりません。

一瞬の明かり区間を過ぎるとすぐに久々利トンネルに入りますが、このトンネルも短いのであっという間に通り過ぎ、今度は少し長い明かり区間に出ます。この場所は高架橋になると思われます。写真右側の雑木林が切り開かれ、県道をまたぎ、写真に写っている2軒の家屋の間のあたりに軌道が設けられるものと思われます。

近くには焼き物の人間国宝であった荒川豊蔵という人の記念館があります。

県道から記念館に入る道です。おそらくこのあたりにも高架橋が設けられるはずです。なお、地元からはこの付近も地下トンネルとするよう要望がありましたが、人家が少ない比較的平坦な区間ということで地上区間を走るルートになったようです。

工事の進展は捗々しくないが…

名古屋駅付近の状況をみるとリニア中央新幹線の工事もかなり進んできたようにも見受けられますが、静岡県の流水量問題や岐阜県で発生したトンネル工事での作業員の死亡事故による工事の中断、調布市で起こった東京外環道のトンネル工事での陥没事故に端を発する大深度地下使用に関する懸念や反発など、トンネル区間が大多数を占めるリニア中央新幹線の工事にとってネガティブな材料が目立ちます。

当ブログはリニア中央新幹線の開業は名古屋の街だけではなく、日本全体にとって必要不可欠なプロジェクトであると考えており、できる限り早い開業を望む立場です(もちろん安全最優先で進めていただくことが大前提なのはいう間でもありません)。

そういった立場から今後もリニア中央新幹線の早期開業を願いつつ、工事の進捗状況をつぶさにお伝えしていきたいと考えています。

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