米系ホテルチェーンのマリオット・インターナショナルが手掛ける「コートヤード・バイ・マリオット名古屋」が名古屋市中区栄1丁目に2022年3月1日開業します。
名古屋市中心部に、宴会場などを備えた外資系シティホテルが開業するのは22年ぶりとのことです。
コートヤード・バイ・マリオット名古屋の概要
まず立地をみてみましょう。名古屋市の中心部を流れる堀川の左岸、三蔵通(みつくらどおり)沿いにあります。近くには再開発施設である「テラッセ納屋橋」があります。
読売新聞中部支社の跡地に建設
コートヤード・バイ・マリオット名古屋は、読売新聞中部支社の跡地に建設されました。なお、読売新聞中部支社はテラッセ納屋橋の業務棟に移転しています。
積水ハウスがプロジェクトマネジメントと設計・施工を担当、建物所有者となる読売新聞東京本社から建物を一棟借りしたうえで、マリオット・インターナショナルと協働して運営管理を行います。
今回のプロジェクトですが、読売新聞東京本社としては、不動産投資事業の一環として捉えることができます。新聞購読者は年々減っていますし、中日新聞が圧倒的なシェアを有する東海3県では購読部数を維持していくのはなかなか難しく、不動産事業にシフトしていくのは自然な流れと思われます。
名古屋では、中部経済新聞社が中村区名駅4丁目に「名古屋クロスコートタワー」を東和不動産や名古屋鉄道とともに保有し、新聞発行とともに貸しビル業を収益の柱としているという例もあります。
ホテルの概要は?
ホテルの概要は以下のとおりです。
建物所有者 | 株式会社読売新聞東京本社 |
ホテル運営 | マリオット・インターナショナル、積水ハウス株式会社 |
設計監理・施工 | 積水ハウス株式会社 東日本特建支店 |
所在地 | 愛知県名古屋市栄1-17-6 |
アクセス | 各線「名古屋」駅 徒歩約 18 分、地下鉄東⼭線「伏⾒」駅 徒歩約 10 分 |
敷地面積 | 4,199.97 ㎡(1,270.49 坪) |
延床面積 | 22,126.42 ㎡ (6,693.24 坪) |
構造 | 鉄⾻造 |
階数 | 地上 12 階・地下 1 階 |
客室数 | 360 室 |
付帯設備 | レストラン、ロビーバー、ボールルーム、会議室、フィットネス |
開業日 | 2022 年3月1日 |
客室は、全360室のうちデラックスキング170室、デラックスツイン56室、プレミアムキング40室、プレミアムツイン84室、コートヤードスイート10室という構成です。
また、500名まで収容可能な440㎡のセントラルボールルームのほか、220㎡のクリスタルルーム、140㎡のオアシスルームといった宴会場・ボールルームを備えるとともに終日食事が可能な1階レストラン「CRUST」やアフタムーンティーやビールを味わえるロビーラウンジ「THE LOUNGE」といった飲食施設もあります。
現地の様子(2022年1月)
天王崎橋東交差点からみた建物全体の様子です。よくみるとビルオーナーである「讀賣新聞」の名が冠されているのがわかります。
北東側からの様子です。三蔵通は電線の地中化が行われているのか、電柱がなくスッキリしていることに気がつきました。
さらに北東側にいきます。積水ハウスのライバル企業であるダイワハウスが運営するダイワロイネットホテル名古屋納屋橋があります。
三角コーンをどかせばすぐにでも営業できそうな状況です。内部では従業員の訓練などが行われているのでしょうか。
堀川を渡った西側の様子です。写真右側のピンク色のラブホテルは既に閉鎖されていますが、周辺はラブホテルが多く、ちょっとしたラブホテル街となっています。大阪・天満にある帝国ホテル大阪は大川をはさんだ対岸に桜宮のホテル街が広がっていますが、気にしている人はいませんし、あちらと比べればこちらはかわいいものです。
南側(建物裏側)の様子です。タワーパーキングはありますが、楽天トラベルを見たところ、宿泊者用の駐車場はないとのことで???です。宴会場の利用客用でしょうか。近くには大きなコインパーキングもあるので問題はないのかもしれませんが…。
待たれるマリオット系最上級ホテルの名古屋進出!
冒頭で「宴会場などを備えた外資系シティホテルが開業するのは22年ぶり」と記しましたが、名駅にある「マリオット名古屋アソシアホテル」に比肩するグレードのホテルかというとそうではなく、実際にはシティホテルとビジネスホテルの中間くらいといったところだと思われます。
下図はマリオット・インターナショナルの公式サイトにある各ブランドのセグメントです。コートヤードは“セレクト”というセグメントでありマリオットの“プレミアム”というセグメントとは異なることがわかります。
なお、名古屋にはマリオット系の最上級セグメントである“ラグジュアリー”に該当するホテルは未進出です。ヒルトン系の最上級セグメントである「コンラッド」が中区の栄広場に進出予定ですが、事業者からの正式なアナウンスは未だなされていません。
関連記事 栄に超高級ホテル「コンラッド」が進出! そもそも「コンラッド」ってどんなホテル?
札幌では、ブランドは未定ですが、マリオット系の最上級ホテルが札幌駅南口の「エスタ」跡地に建設が計画されている再開発ビルに進出を検討していることが報じられています。
また福岡では「天神ビッグバン」の象徴として、2023年春にマリオット系の最上級ホテルブランド「ザ・リッツ・カールトン」が開業予定です。
となると、名古屋にも!という気持ちにどうしてもなってしまいます。
そういえば、積水ハウスとマリオット・インターナショナルのタッグは大阪の「セントレジス⼤阪」「ダブリュー⼤阪」、京都の「ザ・リッツ・カールトン京都」などですでに実績があります。
積水ハウスが関与するのかどうかはわかりませんが、名古屋にも進出が期待できそうな再開発事業は複数挙げられます。コロナ禍の終息がなかなか見通せず、先行き不透明の感はありますが、マリオット系最上級ホテルの名古屋進出というニュースをできるだけ早めに聞いてみたいものです。