広小路通と錦通、本町通に囲まれて建っていた「栄町ビル」の解体工事がほぼ完了し、栄の中心部に広大な更地が出現しています。
となると気になるのは興和が進めようとしている再開発の行方ですが、一気に動き出すのでしょうか?
興和が広小路通を挟んだ2街区で再開発を計画
栄町ビルのキーテナントである名古屋国際ホテルが閉館したのが2020年9月、その他のテナントも徐々に退去したことにより一時は空ビル状態となり、“生きた廃墟”などとからかわれる始末でした。
その後、2023年初頭から解体工事が進められ、2024年8月現在では解体がほぼ完了しています。
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地権者である興和は栄町ビルを含む錦3丁目23番街区と広小路通を挟んで南側の栄3丁目3番街区(旧丸栄)を一体とした再開発事業を計画しています。
過去に報道された内容だと、事業費は2,000億円、東京・赤坂の「東京ミッドタウン」のような複合型商業施設をイメージしているとのことです。
しかし、栄町ビルのある錦3丁目側の街区で別の地権者(安藤証券)との調整がつかないため、先行して栄3丁目側で暫定の商業施設を運営することとし、「マルエイガレリア」を2022年5月に開業させました。
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「マルエイガレリア」の土地は大和ハウスグループと10年の定期賃貸借契約が締結されており少なくとも2033年までは運営されることになっています。
現地の様子(2024年8月)
広小路呉服町交差点より。広小路通を挟んで写真右手がマルエイガレリア、左手が栄町ビルの跡地です。
栄町ビルが解体されたことにより広小路通側から中部電力MIRAI TOWERや錦3丁目の繁華街が見渡せるようになりました。
錦通側から。大きな建物だっただけにこちら側からの景色も一変しました。
街区北東側には、カラオケ店などの雑居ビル群がありましたが、解体はすべて完了しています。
ニューサカエビルと安藤証券ビルの背面が見渡せるようになりました。
複数の超高層ビルが建ち、ひと昔前の栄では考えられなかった都市景観が出現しています。
跡地は厳重に囲われているわけではなく、歩道から内部の様子を覗うことができます。栄町ビルは確か地下部分が2階くらいまでありましたが、地下部分の構築物は撤去されているのかどうかはわかりません。
地下街とつながっている部分の構築物は残されているようです。
その地下街とつながる部分は2024年9月まで通行止めとのことで、以降は通れるようになるようです。
栄近辺のビルの解体現場や建設現場の仮囲いでよく見かけるテイストの絵がここにも。
再開発は2030年代か?
さて、栄町ビルの解体が完了したことにより興和は再開発を一気に進めるのでしょうか?
当ブログでは、残念ながらその可能性は低く、再開発が行われるのはおそらく2030年代にずれ込むのではないかと考えています。
理由を列挙します。
再開発区域に含まれるニューサカエビルの解体時期が未定
再開発区域に含まれるニューサカエビルは現役バリバリで稼働しており解体時期が未定です。オフィス仲介会社のサイトではまだテナント募集が続けられていますが、2027年10月までの定期借家契約となっています。となると、その時期に全テナントが退去するとしても解体に着手できるのは早くてもそれ以降になります。
安藤証券との交渉状況が不明
最大のネックとなっている安藤証券との交渉状況も不明です。いっそのこと、栄広場(ザ・ランドマーク名古屋栄)のように、囲って建ててしまうのも手かもしれませんが、さすがにそういったことはしないような気がします。
マルエイガレリアの状況
先述のとおり、マルエイガレリアは大和ハウスグループと10年の定期賃貸借契約が締結されており少なくとも2033年までは運営されます。
上記①や②の理由により、先行して錦3丁目側から再開発に取り掛かる可能性も低そうで、再開発を進めるにしてもやはり同時並行で進められるのではないでしょうか。
また、興和はマルエイガレリアでダイワハウスグループを引き入れましたが、1階で大きな面積を占めていたカフェが抜けるなど、運営は必ずしもうまいこといっていないようです。
もしかしたら興和はこれに懲りて、外部の資本やノウハウを取り入れることに消極的になってしまう可能性もゼロではないのかもしれません。
栄の施設間の競争の激化
興和が再開発の構想を打ち出した段階と現在とでは栄の商業施設やオフィスビルの環境が大きく変化し施設間の競争が激化しています。
特に2026年夏に開業予定の「ザ・ランドマーク名古屋栄」は、興和が想定しているであろう複合施設と完全に被ってしまっているのではないでしょうか。
頓挫した三越の再開発計画もそうですが、在名企業は石橋を叩きすぎている間に周りの環境があっという間に大きく変わってしまい、置いてけぼりを食っているような気がします。
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記事の結論としては、残念な方向になってしまいましたが、少しでも予想が外れてよい方向で再開発が促進される状況になればよいと思います。