2026年に開催されるアジア大会でメイン会場となる名古屋市瑞穂公園陸上競技場（パロマ瑞穂スタジアム）の建替え計画が進行しています。
この建替え計画は民間資金を活用したPFI事業として行われ、2021年4月に名古屋市と事業者である瑞穂LOOP-PFI（竹中工務店などが出資するSPC［特別目的会社］）との間で事業契約が締結されています。
本記事の執筆時点である2022年7月末の段階では旧陸上競技場の解体工事が8割がた進んでいます。新陸上競技場の完成は2026年3月の予定です。
「名古屋市瑞穂公園陸上競技場整備等事業」の概要
名古屋市瑞穂公園陸上競技場は、1982年に改築、1994年に改修が行われて以降、大規模な修繕・改修が行われておらず、施設の老朽化や規模、機能不足といった課題が指摘されていました。
そこで名古屋市は、陸上競技場の建替えを始め公園の整備・運営をPFI方式により行うこととし、入札の結果、竹中工務店を代表とする企業グループが落札者として決定されました。落札価格は496億5556万円（消費税を除く）でした。
なお、2015年度からはパロマがネーミングライツを取得したことにより瑞穂公園陸上競技場が「パロマ瑞穂スタジアム」という呼称になったほか、公園全体にパロマの呼称が使用されるようになりました。
事業者体系図です。SPCである瑞穂LOOP-PFIへの出資者（構成員）は竹中工務店のほか、美津濃、日本管財、新東通信が名前を連ねています。このほか、日本設計中部支社プレック研究所中部事務所、ミズノスポーツサービス、名鉄協商が協力会社となっています。
公園の全体イメージです。新陸上競技場の3階コンコースと山崎川をはさんだレクリエーション広場との間にフラットな8の字の回遊路が形成されます。
外観パースです。観客席は約30,000席、建築面積は約26,100平方メートル、延床面積約63,500平方メートル、地上6階建てで高さは約31メートルの巨大なスタジアムが出現します。
平面図です。3か所の児童園がリニューアルされるほか、スケートボードなどを楽しめるアーバンスポーツ広場が設けられます。
新陸上競技場は全席屋根付きとなります。サッカーJ1の名古屋グランパスは豊田スタジアムとともに新陸上競技場を再びホームスタジアムとして用いると見られますが、陸上のトラックがある分、コートはやや遠くなってしまいます。
新陸上競技場のコンコースです。イベント開催時以外は一般開放されます。雨天時でもランニングができそうで、ランナーには朗報です。
現地の様子（2022年7月）
陸上競技場全体が白い仮囲いで覆われています。
山手グリーンロードに架かる歩道橋から取壊し工事中の陸上競技場が俯瞰できます。取壊しは8割がた進捗しているように見受けられます。
ただし、大型ビジョンや奥の部分のコンクリート壁などはまだ撤去されておらずもう少し時間がかかりそうです。
工事は2026年（令和8年）3月末まで続けられます。
仮囲いに瑞穂陸上競技場の過去の様子などが掲示されています。
グランパスファンにとって瑞穂陸上競技場は“聖地”でもあります。グランパスで活躍したストイコビッチや楢崎の写真などがありました。
現在の名古屋ウィメンズマラソンはナゴヤドーム（バンテリンドーム ナゴヤ）発着ですが、前身である名古屋国際女子マラソン（2010年まで実施）は瑞穂陸上競技場発着でした。高橋尚子や野口みずきが優勝者として名を連ねています。
そして新競技場のパースも掲示されています。
「第20回アジア競技大会 2026/愛知・名古屋」のメイン会場となることが告知されています。
山崎川沿いは桜の名所としても有名です。整備後は花見スポットとしてもますますにぎわいそうです。
レクリエーション広場の様子。整備後は8の字ループが上空に架けられます。
こちらは「パロマ瑞穂北陸上競技場」です。取材日は中学生の競技会が開かれていました。
「パロマ瑞穂ラグビー場」です。ラグビーの国内リーグは2022年シーズンから「ジャパンラグビーリーグワン」という新しいリーグになり、ここパロマ瑞穂ラグビー場でも数試合が行われました。
「パロマ瑞穂野球場」です。高校野球の地方大会などが行われます。
「パロマ瑞穂屋外プール」です。取材時は炎天下でしたので私も思わず泳ぎたくなりました。
公園を少し東側にいった高台の場所でけっこう大きな更地が出現していました。
公園の整備事業とは全く関係がなく、NTTの社宅跡地にマンションが建設されるようです。場所的に低層だと思われますが、敷地面積的にはかなり大きなマンションになりそうです。