リニア中央新幹線の「山梨県駅(仮称)」は、山梨県の県庁所在地である甲府市の大津町地内に地上駅として設置されます。
2024年7月時点、建設予定地はのどかな田園風景が広がったままで、そもそも工事の契約も締結されていない状態ですが、各メディアが報じるところによると2024年度中に工事の契約が締結され、完成は2031年になる見通しであるとのことです。
リニア中央新幹線「山梨県駅(仮称)」の概要
リニア中央新幹線「山梨県駅(仮称)」は、甲府駅から南に直線距離で約7キロメートルの距離にある甲府市大津町地内に建設されます。
駅の予定地周辺は、のどかな田園地帯となっていますが、建設予定地の北側には中央自動車道が走っており、南側にはコンベンション施設である「アイメッセ山梨」や工業団地が立地しています。
現時点では、まちづくりに関する基本方針案が示されているのみで、正式な都市計画決定などはまだ先になる見通しですが、中央自動車道にスマートインターチェンジを設置し、全国的に見ても珍しい、高速道路と直結する新幹線駅となる計画です。
リニア中央新幹線「山梨県駅(仮称)」に関連し予定されている事業は以下のとおりです。
№ | 事業名 | 事業主体 | 備考 |
1 | リニア駅舎整備 | JR東海 | |
2 | (仮称)甲府中央スマートIC整備 | NEXCO中日本 山梨県 | |
3 | 市道付替え改良整備 | 山梨県 | • スマートIC整備に伴う 市道の付替え改良整備 |
4 | メイン道路整備 | 山梨県 | • 市道大津南北2号線の拡幅・県道化 • 道路概要 延長 約500m、幅員 約13~28m |
5 | 北側交通広場+パーク&ライド駐車場整備 | 山梨県 |
建設予定地は、ハザートマップで約5メートル程度の洪水災害が想定されている区域にあり、水害時にも機能を維持するため地盤をかさ上げしたうえで、最大浸水想定ライン以上の高さにデッキ等が設けられる予定です。
現地の様子(2024年7月)
建設予定地の西側から。パッと見では、ここに新幹線の駅ができることが想像しづらい状態です。
おそらくこのあたりが中央新幹線の軌道の中心部になるものと思われます。
水が溜まり池のような場所も見られ、周辺一帯が低湿地であることが伺えます。
駅の予定地周辺では稲作が継続されています。その向こうに中央自動車道が走るのが見えます。
その中央自動車道と駅がスマートインターチェンジで直結されます。少しずつですが用地買収が進んでいるのでしょうか。
フェンスで囲われたところでは埋蔵文化財の調査が行われていました。
水田の向こうに見えるのはアイメッセ山梨と工業団地にあるNECの事業所です。
この場所から名古屋まで中央自動車道で262キロメートル。リニア中央新幹線は南アルプスをトンネルで貫くため、名古屋駅まで約176キロメートルと86キロメートル短くなります。 車だと恵那山トンネルなどの難所もあるため3時間半程度かかると思われますが、リニア中央新幹線開業の暁にはこの場所から名古屋まで40分で行けるようになります。
山梨実験線やリニア見学センターも取材してきました!
リニア中央新幹線の各駅のなかでも「山梨県駅(仮称)」の建設は遅れているほうですが、山梨県といえば山梨リニア実験線があり、開業時には営業線に転用されることになっています。
また、都留市には山梨県立のリニア見学センターがあり、実験線とともに取材してきました。
山梨県駅のジオラマもありました。後日、あらためて記事にします。
甲府から名古屋へは「あずさ」&「しなの」で
甲府から名古屋への鉄道利用の帰路としては、①中央線を利用し、塩尻まで特急「あずさ」で行き、そこから特急「しなの」に乗り換えるルート、②身延線を利用し、静岡まで特急「ふじかわ」で行き、そこから東海道新幹線に乗り換えるルートがありますが、今回は①を選択しました。
甲府駅前に鎮座する信玄公に別れを告げ、甲府の地を離れます。
甲府駅に入線する松本行特急あずさ25号。使用されている車両は2017年にデビューしたJR東日本のE353系です。
今回はグリーン車に乗車しました。シックな内装、広いシートピッチで寛げます。
中央本線を東西に分ける塩尻駅で乗り換えます。
名古屋行特急しなの18号。名古屋までは2時間強の道のりです。
「しなの」に使用されているJR東海の383系は1994年に登場しており、はや30年が経過しています。グリーン車の内装は先ほど乗車したJR東日本のE353系とくらべるとどうしても古臭さを感じてしまいますが、むしろバブル時代の豪華さを今に伝えているようにも思えます。
美乃坂本駅通過時の様子。リニア中央新幹線「(仮称)岐阜県駅」の工事が進んでいました。こちらもしばらく記事にしていないので、あたらめて取材したいと思います。
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