リニア中央新幹線の東側の始発駅となる「品川駅」は、現在の東海道新幹線品川駅の地下約40mの場所に設けられます。
工事は地中連続壁工法により土留め壁を構築し、その内側を掘削し、掘削した地下空間にリニア中央新幹線駅の構造物を構築します。
リニア中央新幹線「品川駅」の概要
リニア中央新幹線の「品川駅」は、現在の東海道新幹線品川駅の地下に東海道新幹線と平行する形で設けられます。東海道新幹線とリニア中央新幹線が交差する形の名古屋駅と異なります。
規模は延長約1キロメートル、深さ約40メートル、最大幅約60メートル、面積約3.5ヘクタールという広大な地下空間に2面4線のホームが設けられます。
リニア中央新幹線の開業を見据え、東京都は品川駅周辺を中枢広域拠点域の中心と位置付けており、『これからの日本の成長を牽引する国際交流拠点・品川』とした将来像を描いています。
JR東日本も品川地区で集中的な投資を行っており、約5,800億円(!)を投じて品川駅から2020年3月に開業した高輪ゲートウェイ駅周辺の品川車両基地の敷地の一部を利用して「(仮称)高輪ゲートシティ」の開発を行っており2025年3月にまちびらきの予定です。
品川駅高輪口(西口)には「世界初、品川発。」のキャッチコピーとともにリニア中央新幹線の大きな広告が掲げられています。
現地の様子(2023年4月)
取材したのは2023年4月30日です。「ぷらっとこだま」を利用して品川までやってきました。
まずはホームを見渡します。この場所の地下深くに巨大な構築物が設けられるといってもピンときませんが…。
しかし線路にヒントが隠されていました。地下を掘削するため、線路がバラスト軌道(砕石や砂利などのバラストを敷き詰めたもの)から仮の橋梁(工事桁)が架けられた構造に付け替えられています。
東海道新幹線品川駅のコンコース。新幹線の線路およびホームの直上にはJR東海が所有する「JR東海品川ビル」が建っています。奥に見える在来線側との自由通路より向こう側の土地はJR東日本が所有しています。
港南口(東口)側のアトレなどが入る駅ビル「JR品川イーストビル」もJR東日本の所有となっています。写真左側の超高層ビル群は旧国鉄の品川貨物ヤード跡地に開発された「品川インターシティ」です。
品川駅周辺では新幹線の軌道以外でJR東海が所有する土地が限られることから区道を占用する形で工事施工ヤードが設けられています。また、品川駅はよく考えたら(考えなくても)東海道新幹線では珍しい地上駅であることがわかります(あとは豊橋駅と米原駅)。
「北工区」の北端部の様子です。すなわちリニア中央新幹線の軌道のいちばん端っこになります。東海道新幹線のホーム上に建つ建物は「JR東海品川ビル」の別棟で単身者社宅や物流倉庫となっています。
「JR東海品川ビル」のA棟が建っている付近から南側が「南工区」になります。
「南工区」は「JR品川イーストビル」の先まで続きます。
「JR東海品川ビル」のB棟の南側あたりが「南工区」の南端です。この「北工区」と「南工区」が地表部から掘り下げていく開削工法で行われます。なお、工程が予定通りに進捗していれば、掘削工は完了しており、躯体の構築工が進捗しているものと思われます。
「南工区」からさらに南側は別工区となり非開削で行われます。
京王品川ビルから品川駅方面を俯瞰します。
せっかくなので北品川非常口を見に行くために歩きます。品川駅港南口から約2キロです。途中、東海道新幹線をはじめ各線をまたぐ御殿山橋から、西へ向かうN700系新幹線の写真を撮りました。
品川区北品川4丁目にある北品川非常口と変電施設の建設現場。
北品川非常口からシールドマシンが下ろされ、長大な第一首都圏トンネルが掘り進められています。
歩道橋から建設現場の様子は伺えますが、残念ながら非常口の巨大は円形の穴は確認することができませんでした。
各駅で着々と工事が進む
当ブログでは、リニア中央新幹線の各所の工事の進捗状況を随時お伝えしています。
なかでも設置される駅については、これまで名古屋駅や岐阜県駅の建設状況を複数回お伝えしてきており、2023年に入って長野県駅と神奈川県駅、そして今回品川駅の状況をお伝えし、残るは山梨県駅のみとなりました。
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岐阜県駅
長野県駅
神奈川県駅
各駅で工事の進捗状況はそれぞれ異なりますが、開業に向け着々と進んでいます。懸案事項が一刻も早く解決し、できる限り早く開業時期が確定することを願わずにはいられません。