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さて、日本郵便は東京と名古屋、それぞれの旧中央郵便局跡地に「JPタワー」と「JPタワー名古屋」という2つの超高層複合ビルを展開しています。そして、2024年3月、大阪に3つめとなる「JPタワー大阪」が竣工します。
今回は、外観がほぼ完成し竣工に向けた最終工事が行われている「JPタワー大阪」とすでに名古屋・名駅にどっしりと構える「JPタワー名古屋」、2つの“JPタワー”を見比べてみることにします。
「JPタワー大阪」と「JPタワー名古屋」の概要
「JPタワー大阪」は、大阪市北区梅田3丁目の旧大阪中央郵便局跡地を含む一帯で建設が進められている超高層複合ビルです。
事業者は日本郵政のほか、JR西日本、大阪ターミナルビル(JR西日本のグループ会社)、JTBです。2020年9月に着工、竣工は2024年3月末、グランドオープンは2024年7月の予定となっています。
ビルの構成です。地下1階から地上6階は日本郵政不動産が手掛ける商業施設「KITTE大阪」、5階から8階のフロアの一部は劇場「SkyシアターMBS」、11階から27階がオフィス、7・8階および29階から38階はマリオットのオートグラフコレクションに加盟するホテル「THE OSAKA STATION HOTEL, Autograph Collection」(客室数418室)となります。
一方、「JPタワー名古屋」ですが、名古屋市中村区名駅1丁目に建つ、こちらも超高層複合ビルで、事業者は日本郵便と名工建設です。2013年7月に着工、2015年11月に竣工しています。
地下1階から3階までは商業施設「KITTE名古屋」、3階の一部はホール&カンファレンス、5階から39階はオフィスとなっているほか、低層棟としてJRゲートタワーと一体となっているバスターミナルと自走式の駐車場があります。
両ビルの概要は以下のとおりです。
名称 | JPタワー大阪 | JPタワー名古屋 |
所在 | 大阪市北区梅田3-2-2 | 名古屋市中村区名駅1-1-1 |
用途 | 事務所・ホテル・劇場・店舗(飲食・物販) ・自動車車庫・公衆浴場・倉庫 | 事務所、店舗、郵便局(高層棟) バスターミナル、駐車場(低層棟) |
構造 | 鉄骨造 (一部鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造) | 鉄骨造、鉄骨鉄筋コンクリート造、鉄筋コンクリート造 |
高さ | 約188m | 約195m |
階数 | 地上39階・地下3階・塔屋2階 | 地上40階・地下3階・塔屋1階(高層棟) 地上11階・地下1階・塔屋2階(低層棟) |
敷地面積 | 12,920㎡ | 12,177.50㎡ |
建築面積 | 9,800.00㎡ | 9,737.02㎡ |
延べ面積 | 227,000.00㎡ | 180,173.14㎡ |
建築主 | 日本郵便・西日本旅客鉄道・大阪ターミナルビル・JTB | 日本郵便・名工建設 |
設計者 | 日建設計一級建築士事務所 | 日本設計第一建築設計群 |
工事施工者 | 梅田3丁目計画(仮称)建設工事JV (竹中工務店・西松建設・錢高組) | 竹中工務店名古屋支店 |
着工 | 2020年9月 | 2013年7月 |
竣工 | 2024年3月31日(予定) | 2015年11月 |
こうして比べてみると敷地面積と建築面積はほぼ同じですが、延べ面積は大阪のほうが広くなっています。 一方、高さですが、名古屋のほうが少し高くなっています。名古屋については東京のJPタワー(高さ200メートル)を上回らないというオトナの事情? 大阪については、大阪空港の高さ制限によるものと思われます。
KITTE、劇場、オフィス、ホテルとてんこ盛りな「JPタワー大阪」
現地の様子を見てみましょう。
超高層ビルが集積する梅田地区にあっても「JPタワー大阪」の規模感は目を引きます。
存在感のある基壇部とせり出した形のオフィスフロアが特徴的です。
東側から見るとスリムに見えます。
馴染みのある「KITTE」のロゴのほか、「THE OSAKA STATION HOTEL」と「SkyシアターMBS」の電飾サインが取り付けられています。
新たに設けられたペデストリアンデッキでも直結します。
昔、管理人RINTAが大阪に住んでいたころは、ハービス大阪やハービスエントなど“阪神村”と呼ばれていたような記憶がありますが、いまでもそう呼ばれているのでしょうか。
圧倒的な大きさを誇る基壇部。
基壇部は大阪ガーデンシティまで続きます。写真左の三角形の建物は大阪モード学園。東京・新宿のコクーンタワーや名古屋・名駅のスパイラルタワーズと比べるとやや落ち着いた印象です。
うめきた2期(グラングリーン大阪)では複数の超高層ビルの建設が同時並行で進み(写真右側のビル群)、ビル好き名古屋民としてはビビッてしまうほどです。写真中央は2024年6月竣工予定の「イノゲート大阪」、その左側が「JPタワー大阪」です。
オフィス主体、質実剛健?な「JPタワー名古屋」
続いて名古屋です。
大阪と比べるとデザインがすっきりしている印象です。
基壇部は3階まで。上層階と統一感のある意匠です。
「JPタワー名古屋」と「JRゲートタワー」が複雑に入り組んでいる感じがいいですね。
東名阪のJPタワー共通ですが、各都市の中央郵便局が置かれています。
地下から商業施設「KITTE名古屋」への入り口。ちなみに「KITTE」は、東名阪のJPタワーのほか、博多にもあり「丸井」などが入っています。
地下1階は飲食店街になっています。個人的なイチオシは「鶏だしおでん さもん」です。
1階のアトリウム。広大な空間であり、非常時には帰宅困難者の退避場所になります。名古屋らしく金シャチをモチーフにしたオブジェが置いてあります。
2階の通路。JRゲートタワーから続き、隣接の名駅ダイヤメイテツビルへの連絡通路としての役割も担っています。3階部分が吹き抜けになっており、開放感は名古屋の超高層ビルでも有数だと思います。
ローソンと日本郵便の関係は深く、JPタワー名古屋には「JPローソン」なる店舗もあり、オリジナル商品も取り扱っています。ちなみにローソンからはヤマト運輸の宅急便は送れません。私は最近そのことを知りました。
JPタワー大阪がホテルや劇場なども入るのとは対照的にJPタワー名古屋はオフィス主体であり、ある意味質実剛健といえます。
名駅の強みはなんといっても新幹線が乗り入れていることだと思います。
そしてリニア中央新幹線も乗り入れる予定です。中央新幹線名古屋駅はJRゲートタワーの地下深くに設けられます。将来的にはJPタワー名古屋もリニアにほぼ直結のビルとなります。
大阪と比べると名古屋の再開発はやや落ち着いている感もありますが、リニア中央新幹線の静岡問題がクリアとなり開業時期が明確になれば再度機運が高まるような気がします。早くそうなるとよいのですが・・・。
今回は大阪と名古屋の2つの“JPタワー”を見比べてみました。機会があれば元祖である東京・丸の内の“JPタワー”とJPタワー名古屋も見比べてみたいと思います。